昨日、立秋。台風サンサンが不気味に
列島へ近づいている。日曜日までの猛
暑は一段落、ベランダにはサフランモ
ドキの花が美しく咲いた。鉢に根が詰
まるほど球根が増えたので、春に株分
けをしたので、のびやかにそして濃い
ピンクの色の花になった。
立秋は24節季のひとつで、夏至と秋分
の中間で秋を感じ始める頃である。日
本では、本格的な台風シーズンを迎え
る。台風は大きな被害をもたらすが、
海水をかき回して、その温度を低くす
る役割を果たす。北の冷たい空気を引
き寄せる力も持っているので、秋の気
配がただよい始める。
何処よりか秋風至る
蕭蕭として雁群を送る
朝来庭樹に入るを
孤客最も先んじて聞く
中唐の詩人、劉禹錫の「秋風引」であ
る。劉禹錫は、左遷させられ20年もの
間、地方官生活を送った。何年経って
も馴染むことのできない地方での暮ら
し、自らを孤客、つまり都に帰れない
淋しい旅人と称した。そんな境遇の詩
人には、かすかな秋風にも敏感に察知
する。
「古今集」藤原敏行が、立秋の日に詠
んだ歌がある。劉禹錫とあまりに似た
秋風の歌である。
秋きぬと目にはさやかに見えねども
風の音にぞおどろかれぬる