待ちかねた雨である。数えてはいないが
ひと月ぶりくらいの気がする。しかも、
最上地方で一日で300㎜、通行止めや避
難指示や警報付きの雨である。田が干上
がるほどの日照りの後の、経験したこと
のないような集中豪雨。異常気象という
ほかはない。先ごろの山陽地方の大雨の
ような被害が出なかったことが幸いだ。
スサノウノミコトのヤマタノオロチ退治
という神話がある。八つの頭を持つ大蛇
を酒に酔わせて退治するという話だが、
この大蛇は大雨でたけり狂ったように流
れる川に例えられることもある。それを
退治するために用意した酒の甕は、雨を
蓄え、ダムなどを作って、治水工事して
川をおとなしくすることと考えられてい
る。しかし、今年の大雨は、極地的で並
みの甕ではこのオロチをおとなしくさせ
ることは難しい。
こんな集中豪雨はあって欲しくはないが
雨なしに生きていけないのも、悲しい人
間の性である。山村慕鳥の詩に「雨の歌」
がある。
雨がふる
雨がふる
さびしい雨滴でも聴かうか
いや、いや
さうだ
鞭うつやうに
蹴るやうに
つよく、つよく
はげしく
つよく、はげしく
ふってくれ