夕べ、山形で花火大会があった。その前
日はお墓参り。帰省の孫たちを迎えた家
も多かったであろう。山形名物の冷やし
ラーメンの店には、びっくりするような
行列ができていた。帰省して、珍しいラ
ーメンを食べ、爺婆から貰うのは、お年
玉ならぬお盆玉だ。何でも山梨の方で、
正月のお年玉に代わるお盆玉ののし袋を
売り出したところ、これが受けて今では
全国で見られる風習になったらしい。因
みに「ぽち袋」というのもあるらしい。
こちらは、これぽっちをしゃれて、少し
だけれどもという自虐的なユーモアがこ
められた袋である。
お墓参りで見た光景だが、バケツに汲ん
だ水を、柄杓でお墓にかける人がいた。
曰く、今年は暑いから、涼んだら、と言
いながらかけていた。墓に花を供え、蝋
燭に火を灯し、線香をくゆらせる。迎え
盆には夕方、持参した提灯にこの蝋燭を
入れ、自宅の仏壇に持って帰る。墓に眠
る祖先の霊のシンボルだ。お盆が終わっ
て霊を墓に送り出すまで、仏壇の灯明を
消さず守る。これが昔からの風習だが、
今では、我が家をはじめ、こんな風習を
守る人はどんどん少なくなっている。
魂送りの日には、鐘や太鼓で音を奏で、
盛んな踊りが行われる。盆踊りが、今も
風習として残っているが、この騒々しさ
のなかで、幽霊の退散を目的にしたもの
と説くのは、民俗学の柳田國男である。
蒲の穂も剪るべくなりや盆の前
水原 秋桜子
朝夕はめっきり涼しくなった。お盆が慌
ただしく過ぎていくと、もう秋である。
畑の夏野菜は倒し、秋から冬に収穫する
野菜づくりの準備が始まる。