常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

朝焼け

2018年08月23日 | 日記

5時に起床、窓から外を見ると、素晴らしい

朝焼けである。こんな素晴らしい朝の景色を

見るのは初めてだ。一期一会という言葉はこ

ん景色を見たときに使うのがふさわしい。読

みかけていたウェストンの『日本アルプス』

を読み継ぐ。いよいよ、槍ヶ岳の登頂成功の

場面である。この書のクライマックスだ。ウ

ェストンは梓川の渓流を遡り、徳本峠から槍

の穂先に向かうのだが、この間の描写は意外

にも簡潔である。

 

「急な流れの川床から2時間たゆまずのぼっ

て行くと、そこから「槍ヶ岳」の岩塔が険し

くそびえている尾根の狭い裂け目に着いた。

それから北に向い、昨年引き返した地点をま

もなくうまく通り過ぎた。なめらかでけわし

い岩板は、雨の時は危険だが、今はすっかり

乾いており、都合のよい割れ目や突出部が、

いたるところで足場や手がかりになった」

 

こうして痩せ尾根をあるくこと150m、一行

は頂上に着く。ここからは、360°見渡せる

すばらしい眺望の描写となる。

 

「真東に当っては、常念岳の三角形の姿がくっ

きりとした輪郭を見せている。浅間山の煙は遥

かかなたに立ち昇っている。南のほうには、も

っと近い主山系の巨峰、穂高山や乗鞍、そして

その向うには御嶽が目に映る。南東には駒ケ岳

、なお遠くには甲州の峰々がきわだってそびえ

ている。しかし、一番堂々としているのは、左

右釣り合いのとれた富士の円錐形の頂上で、私

たちから離れること、150キロに近いかなたに

、太平洋の岸辺からそびえ立っている。」

 

ウェストンのこの詳細な山の知識には驚かされ

る。現代の日本人、めったに日本アルプスに行

かない我々は、どの頂上に立っても、山の名を

同定することは難しい。そして、日本のマッタ

ーホルンと命名した槍ヶ岳の登頂を目指した強

固な意思、山道とて今日のように整備されもの

でなく、その山中で生計を立てていた猟師の案

内で、幾度も失敗を経たのちに、見事に山頂に

立っている。

コメント
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