常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

昭和の思い出

2018年10月15日 | 日記

 秋が深まってきた。桜の木の下には紅葉し

た落ち葉が散り敷いていた。天皇陛下の生

前退位が実現したため、平成最後の秋にな

る。来年5月から新しい年号が始まるが、

平成を回顧する読み物が溢れかえることだ

ろう。

だが我々の年代は、その前に昭和を回顧す

る。私の小学校時代は、朝雪が降ると、登

校する道が雪に埋もれてしまうため、父兄

の家で馬橇を出して、児童の通学路を確保

してくれた。運がよけれれば、馬橇に乗っ

て学校まで送ってもらうことができた。通

学路はほぼ2㌔、子供の足で40分ほどかか

た。雨の日も雪の日、この道を歩いたこ

で丈夫な足が鍛えられてような気がする。

冬の通学はことさら難儀だった。零下20℃

という気温も珍しいことではない。吹雪に

なると前が見えなくなる。粗末な耳あては

冷たい風を防ぎきれずに、凍傷を負うこと

もしばしばであった。日に一度バスが走っ

た。燃料がガソリンでなく、木炭でエンジ

ンを動かしたのでスピードが出なかった。

坂道にかかると、極端にスピードが落ちる。

場合によってはエンストを起こす。坂道で

バスを追いかけて走るのが楽しみだった。 

子供のころ、野に生る実をよく食べた。隣の

家の庭に大きなオンコの樹があった。こちら

では、イチイというが、秋には赤い実をつけ

る。少しエグイが甘いので好んで食べた。実

はこれだけでなく、グミ、グスベリ、野イチ

ゴ、山ブドウ、コクワなどなど、堤防の樹々

の中や草むらに目を凝らして、実が熟するの

を待ちかねた。当時、近所に同じ年ごろの子

どもたちがいなかったので、野イチゴを見つ

けるたくさんの実を一人占めでたらふく食べ

た。下痢をしたこともしばしばであった。

大正を回顧する人もいる。杉浦民平は『なつ

かしい大正』のなかで初めて見た自動車のこ

とを書いている。遊びに夢中だった子どもた

ち、四辻の傍に止った四角いかたち自動車が

「ブーブー」と警笛を鳴らしているのをとり

囲んだ。「中には車にさわってみる勇気ある

子供もいた。運転手が横窓を開いて、「やい、

どいた、どいた。どかぬと轢きつぶしちゃう

ぞ」とどなるまで、だれも動かないで呆然と

車を眺めていた。

さて平成の時代はどんな回顧が行われるので

あろうか。

コメント
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