秋晴れの日が続く。小春日和というのか、
実に気持ちのいい気候だ。報道で各地で
桜が咲いているという。解説では、秋には
花を咲かせないホルモンがあるのだが、何
かの拍子に、その効き目が切れて花を咲か
せるということであった。人間も気持ちい
い気候だ。花がうっかり間違えるのも無理
はない。特徴は、春のように万朶の花には
ならず、ところどことろに部分咲きする。
そのため、来春の開花には殆ど影響はない
らしい。
帰り花むかしの夢の寂かなる 円地 文子
この句は帰り花を、むかしの夢としたとこ
ろが手柄である。散歩の途中で、ツツジに
もポツンと帰り花が咲いていた。やはり、
秋の淋しさが漂っていた。先日の山行で、
山路の傍らに、イワウチワの花が一輪ひっ
そりと咲いていた。帰り花は爛漫の春の日
を思い出させる。