
春雨にぬれて桜の蕾がふくらんで来た。気温があがる明日あたり、一輪、二輪の花をみることができるかも知れない。東京では、今日は花を散らす雨になっている。今朝のお天気クイズは、きょうまで桜が一番長く咲いているのは何処?で三択は東京、岡山、鹿児島であった。鹿児島が12日で一番、次は東京の7日、そして岡山は3日ということであった。東京はもう散り始めているから、桜は一週間ほどで花が見えなくなる運命にある。漱石の句に
春雨の夜すがら物を思はする 漱石
漱石にしては少し艶っぽい句だが、物を思う対象は、上野の山の桜であったかも知れない。散って行く花を見て、心ふせぐならば、蕾のふくらみをみながら、明日か、次の日かと期待している方が楽しいのかも知れない。散る桜の下で悲しむ詩人、萩原朔太郎の「桜」と題する詩の一編。
桜の木の下にあまたつどひ居ぬ
なにをして遊ぶならむ。
われも桜の木の下に立ちてみたれども
わが心はつめたくて
花びらの散りておつるにも涙こぼるるのみ
いとほしや
いま春の日のまひるどき
あながちに悲しきものをみつめたる我にしもあらぬを。
