
夏を思わせる気温が続いて、藤の花も咲き始めた。歳時記には晩春に載っているが、夏の花に入れる図鑑もある。源氏物語に「この花のひとり立ちおくれて、夏に咲きかかる」と書かれ、夏の花か、春の花か思いまよう心が語り継がれている。テレビで足利のフジ園の花が見事に開いた画が流れた。葉桜になると、もう関心は次の花へと移っている。人の心は、なんと移り気なことか。
風入れてめざめかぐはし藤の頃 水原秋桜子
年が明けてから通うようになったブックオフは楽しみの時間になった。読む本は本棚に満ちているのだが、ブックオフの100円コーナーで掘りだしものを見つけるのが楽しみなのだ。最近入手した本は、保坂隆『老いを愉しむ言葉』、石田浩司『呼吸の科学』、生田哲『脳の健康』、生田哲『脳は食事でよみがえる』、『アイデアの科学』などの新書だ。高齢が進んで脳の退化が気になるのか、脳とか科学などの題名の本につい手が伸びる。本を読みながら、書いてあることを実践してみる。これが高齢になってからの本の読み方である。その日一つでも新しい知識を身につける。ブックオフの100円コ―ナーにこんな実利的な楽しみがある。