常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

虚空蔵山

2018年05月24日 | 日記


上山の西山の南端が虚空蔵山である。標高350m円錐形の山で、頂上に立てば上山盆地を一望にできる。このこの山の頂上には、高舘城という山城が置かれ、最上義光の出城の役割を担った。ここから遠望すれば、敵の軍勢も手に取るように見える。現在の上山城は、最上が改易になった後である。

昭和17年5月6日、斎藤茂吉は弟の高橋四郎兵衛と一緒にこの山に登り、眼下に盆地を見下ろし、2首の歌を詠んでいる。

眼下は平たくなりて丘が見ゆ丘の上には畑がありて 茂吉

畑というのは、今見える住宅地であろう。その時は麦を植えた畑で、5月の太陽に麦は青さを増していた。そして、麦畑をはさんで菜の花の黄色が盆地を彩っていた。



昨日の雨で、山の緑は雨に洗われていた。山道は木々の緑に覆われ、身体がすっぽりと山の気に包まれるようだ。木漏れ日が降る地点に来ると、気持ちが急に晴れやかになる。人間の身体は、日光を浴びることで元気づく。歩きながら、日光のありがたさをかみしめる。

東川の渓谷とほく入りてゆく川の石原白く見えつつ 茂吉

75年以上も前、斎藤茂吉がこの山にいて、同じ光景のなかに身を置いていたことに不思議な縁を感じる。東川は、宮川ともいう須川の上流である。山中にも渓流が流れている。木漏れ日の地点からほどなく、渓流のせせらぎが聞こえてくる。山鳥の甲高い泣声が混じる。春ゼミの鳴き声はないが、目にやさしい緑、山中に響く様々な音。同行する人たちの話声。五感はたっぷりと、自然に癒される。

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アカシア

2018年05月23日 | 日記


須川の堤防にニセアカシアの花が一斉に開いた。この木はよほど繁殖力が強いと見え、堤防の樹木の半分を占めているように見える。花の花粉の香りが、遠くまで漂ってくる。白藤ににた白い花をつけるのがニセアカシアで、豆科のハリエンジュ属で北米原産である。これを明治期に輸入したとき、アカシアを呼んだため、黄色の花をつけるマメの木科の本来のアカシアと混同されて呼ばれている。札幌のアカシア並木、アカシア蜂蜜、西田佐知子の唄った「アカシアの雨がやむとき」など、いずれもニセアカシアのことである。本来のアカシアと区別してニセアカシアと呼ぶようにしたが、なお白い花をアカシアと思い込んでいる人が多い。こう書く私自身も、その一人である。本来のアカシアをミモザと呼んで、逆に混同を避けようする向きもあるらしい。

中国大陸にもニセアカシアが多いらしく、戦争から復員した兵士の回顧談がある。

「戦線を行軍しながら、よくアカシアの林を通った。常に馬と一緒だったが、アカシアの葉を馬が食べると腹痛をおこすので困ったものだ。アカシアの葉が手近かにあったので、馬も兵隊もカムフラージュに使ったところ、馬が食べてしまうのである。」

5月の中旬を過ぎて、初夏の空気のなか、病院に行って血糖値を計った。6.5%程度のA1Cが5.9%に改善された。新緑を求めて山歩きの頻度が増えたことが原因である。久しぶりに、管理がうまくいったことを褒められて、さらに精進。
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ヒメサユリ

2018年05月22日 | 日記


畑の種まきと苗の定植はほぼ完了。今朝、状況をみに行くと、山東菜とシュンギクが発芽していた。苗は畑に根を下ろし、成長を始めている。元気な様子に一安心、雑草とり水やり。作業完了後、千歳山にヒメサユリを見に行く。いつもは、中腹で一、二輪を見るだけだが、下の方で意外に多くの花と咲きかけの蕾が見られてびっくりした。

ヒメサユリは飯豊や朝日連峰など東北の亜高山帯の特産である。最初に見たのは会津朝日岳の尾根道である。メモを見ると平成6年6月である。その可憐さに、思わず同行した仲間の女性を傍に坐らせて記念の写真を撮った。山でカメラを持つようになるきっかけは、この花を撮ったことが契機になっているかも知れない。花粉と葯の色が黄色であることがこの花の特色だ。

すぐひらく百合のつぼみをうとみけり 安住  敦



千歳山からみる月山の姿も日毎に雰囲気を変えている。先日、三吉山の頂上で、アイゼンを履いて月山に行くという女性がいた。今日ぐらいの好天であれば、さぞ快適な山行だろうと想像する。あちこちの高山で、夏山開きが始まっている。
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三吉山

2018年05月21日 | 日記


朝、ベランダから見る三吉山がくっきりと見える。昨日までの雨から一転、眼前に見える山はすばらしい。斎藤茂吉が、朝夕眺めた山である。茂吉の生家のある須川橋の方角から見るのと、ほぼ同じ方角で、こんな姿を

をさなくて見しごと峯のとがりをる三吉山は見れども飽かず 茂吉

「さながら、「茂吉よ大きくなれ、そしてすぐれた人間になれと」と教え、かつ見守っているようだ」と述べるのは、歌人で上山市長を勤めた鈴木啓蔵である。故郷の山は懐かしい。一人きりになった時、人は見なれたふるさとの山と会話をする。「負けないぞ。山よ見ていてくれ。」私自身、故郷の山に向かってなんど誓ったことか。

思い立って、ベランダから見える山を歩くことにした。上山ウォーキンググループに入れもらって同行した。この会の人たちは、色んな新知識を教えてくれる。山中で咲きはじめた銀ラン。その実物を示して写真を撮ったら。棘のある木、ヘビノボラス。下り道で、足をひっかけて転びやすい道。全員が歩行を終えて、ほっとしたタイミングを捕らえて話してくれるリーダー。いやというほど歩いているつもりでも、耳に入る言葉はどれも新鮮だ。



三吉山の頂上から、朝日連峰、飯豊の山々が絵のように見える。何度登っても、その度に新鮮に感じるのが山登り。岩海でキーキーという鳴き声が聞こえる。一緒に歩いている人の視線の先には、数十頭の猿のグループ。朝の食事を終えて、どこかへ向かって移動中であった。
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卯の花

2018年05月19日 | 


卯の花と言えば、ウツギの花を言う。ウツギは多くの種類があり、この時期に目立つのはタニウツギ、この辺りで言うガザバナ、先日見たツクバネウツギなどなど。あの唱歌に謡われているのは、垣根になっているので、庭木として使われている。

卯の花の匂ふ垣根に
ほととぎす早も来鳴きて
忍び音もらす
夏は来ぬ

今日、カメラを持って散歩していたら、庭のウツギが花を咲かせているのを偶然見つけた。これこそ卯の花に違いないと思いネットの画像で確認すると間違いなく卯の花であった。

ウツギは卯杖、卯槌などの材料となり、農事の邪魔をする土地の精霊を追い払う役目を担わされていた。初春にこの杖で地面を叩いて、そのあとで小正月のお祝いをする。卯月になるともう一度、杖で地面を叩き、田植えの予祝行事を行う風習があった。垣根にこの木を植えるのも、この木の霊力を信じていたからかも知れない。
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