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常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

エンドウ豆の花

2018年05月18日 | 農作業


畑のエンドウ豆に花が咲いた。今朝、雨のなか、残った種(ズッキーニ、オクラ、インゲン)をまきにいったところ、エンドウ豆はさらに多くの花をつけていた。莢が食べごろになるまで、花が咲いてから10日ないし2週間とみているので、今月の末には初どりのスナップエンドウが食べらることになる。雨の日に畑に行くことは滅多にないが、苗の定植と種まきは別だ。根の定着や種の発芽には、気温が高いことと雨による湿気が欠かせない。畑仕事をしている人たちは、天気予報をこまめにチェックしている。行おうとしている作業に適した気温や雨などを知るのはもちろんだが、時期外れの降霜などで被害がでない対策が必要になる。

まわりの田では耕耘を終え、水が入れ始められている。田植えに向けた準備が着々と始まった。その年の田植えはいつ始めたらいいのか。最近の情報化社会では、これを知る術はたくさんある。近くに山がある農村では、山の雪げ消え始めて、出てくる雪形で田植えの時期を決めるのが言い伝えであった。高山を抱えている地方では山の名が雪形からきていることも多い。「常念坊」は雪形がお坊さんが托鉢している姿に似ているため、常念岳と名づけれている。雪型が代掻き馬に似ていることからきた白馬岳、伊那の島田髪など。鳥海山の雪形はストレートに種まき爺さんと言われている。

田植えや種まきに限らず、変化する自然の現象と大切な農作業を結び付けているものは、まだまだある。例えば

「かっこう鳴く」大豆の豆を蒔く
「ぼたん咲く」蚕の幼虫を育てはじめる
「赤とんぼ飛ぶ」麻を刈る

近年品種改良が進み、種によっては言い伝えどおりでないものはたくさんあるが、先人が経験してきたことをよく吟味してみることは大切である。

田植人光を曳きて田移りす 松村 蒼石

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ブナの話

2018年05月17日 | 日記


山登りをするようになってブナの木が気になるようになった。20年以上も前になるが、村山の葉山の山中でブナ見事な二次林を見たせいかも知れない。その整然と並ぶブナの樹、白い幹に、葉の緑が他の木に見られない美しさあった。ブナ林を見る度に、ブナを知りたいと思い、ブナについて書いてある小冊子を買い続けた。今では本棚のあちこちに、関連する本が10冊以上ある。

シューマンの作曲した歌曲に『流浪の民』というのがある。日本でも学校の合唱曲になって、広く親しまれている。その歌詞に

ぶなの森の葉がくれに
宴ほがい賑わしや

松明あかく照らしつつ
木の葉しきて倨居する

これぞ流浪のひとの群
眼ひかり髪きよら

ヨーロッパでブナ分布するのは、ドイツが中心である。日本と違って、ここではブナは平地にある。日本では1000mほどの高地にあり、その林床には笹や落葉低木があって多様な林相であるのに対し、ヨーロッパでは林床は草花ばかりですっきりとし、ジプシーが宴に酔い、妖精が乱舞する。ブナの森は、西洋と日本ではこんなにも違いがある。

日本のブナ林は、ジプシーが集う場所には向かないが、大きな利点がある。それは林床を彩る植物の多様性である。笹が茂り、アオキ、ユズリハなどの常緑低木。春にはクロモジ、オオカメノキ、マンサクなどの落葉低木の花や新緑が美しい。これらを食べる昆虫が生息し、その昆虫を求めて多種類の鳥が集う。タケノコを餌にするクマ、常緑低木を食べるカモシカ。日本のブナの森には、宮沢賢治の童話の世界が広がっている。



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紫色

2018年05月16日 | 日記


こんな話を聞いたことがある。ライラック、フジ、アヤメなど紫の花が咲き出すと春が終わり、夏になる。確かに、アヤメが一斉に咲き出し、鉄線までもが咲いた。そして昨日、今日と夏日に迫る気温を記録している。紫の花は、古来、日本人が尊んできたものだ。枕草紙にも「すべて何もかも、紫なるものは、めでたくこそあれ。花も糸も紙も」という記述がある。役人の被る冠は、紫が最上位、紫の袈裟を着るのは高僧のみであった。

窓ひらく鉄線の花咲きわたり 山口 青邨

炎天下、畑仕事が佳境である。定番のトマト、ナス、キュウリの苗を植え、種ではハツカダイコン、トウモロコシ、山東菜、ふだん草を撒き終えた。オクラ、ズッキーニなどを残し、何もなかった畑が急ににぎやかになった。
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アイリス

2018年05月15日 | 


アイリスはギリシャ神話ので虹の女神。イリスとも言われる。この花が、虹のように多彩な色で咲くので、この名が与えられている。写真は紫だが、白、黄、藍などがあり、花弁の中央に黄色の斑がある。アヤメ科の花で、カキツバタ、イチハツ、シャガなどは仲間の花である。山形にはアイリスという店名の美容院があった。

アイリスの見ゆる一眼にて愛す 日野 草城

あまりに妖艶な花を咲かせるので、西洋では官能の象徴として詩に詠まれることが多い。森有正は『バビロンの流れのほとりにて』のなかで、詩人ロルカの詩を引用している。

接吻と砂にまみれた女を
流れのほとりから私は起した
夜空に坑して剣のように
イリスはその花々を揺り動かしていた

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紅一点

2018年05月14日 | 日記


多くの男性にまじって女性が一人、こんな状況を紅一点と表現するが、実はこれは緑の中に咲くザクロの花のことである。中国の宋の時代の詩人、王安石の詩から生まれた言葉だ。「万緑叢中紅一点、人を動かすに春色多くを用いず」が出典となった詩である。一面の緑の草むらのなかに紅い花が咲いている。春の景色はこれだけで人を感動させるという意味である。この詩はザクロの花を詠んでいる。ザクロの樹には多くの花をつけるので、紅一点という言い方はいかがなものかと考えもするが、先日のブナの森のヤシオツツジを思い出した。万緑、圧倒的なブナの新緑のなかに浮かんでいるわずかな赤。やはり、こんな景色を見れば誰もが心を動かされる。紅一点と表現しても、少しも違和感を覚えない。
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