森林浴がブームになったことがあった。ソビエトの学者のトーキン博士が、植物が「フィトンチッド」という物質を放散していることを発見した。1930年のことである。顕微鏡をみながら、動いている細菌のそばに、切り刻んだ植物を置くと細菌が死んでしまう。博士は、このことを植物(フィトン)が殺す(チッド)と命名した。そして日本の化学者である野副哲夫が、1936年に台湾ヒノキから「ヒノキチオール」という物質を抽出し、これに殺菌作用があることを証明した。
いまではフィトンチッドの殺菌能力が次のように判っている
モミ・・・黄色ブドウ状球菌、百日咳ウィルス
マツ・スギ・・・ジフテリア菌
ポプラ・ユーカリ・・・インフルエンザウィルス
カシ・・・アメーバ、結核菌、腸チフス、コレラ菌、ジフテリア菌
ツツジ・・・黄色ブドウ状球菌
森林に入ると、木々の放つ爽やかな香気を感じる。これは、フィトンチッドのもとになるテンペルという炭化水素化合物によるものである。その後の研究で、このテンペル類には、人間の精神神経、特に自律神経に作用して精神安定に効果があることが分かってきた。森林浴が、現代人の悩みの種であるストレス解消に効果ありと言われてブームになった。しかし、悲しいかな、日本のブーム現象は時間の経過ととも忘れ去られる。
この季節、山や近くの森林で新緑に触れた人で、ブームになった森林浴の効果に疑いを持つ人はいないであろう。ここで大事になるのが継続である。健康にいいストレス解消法の継続に挑戦しているは、かまのやま温泉クワオルト毎日をウォーキングなどであろう。