常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

木の芽

2022年05月03日 | グルメ
この季節、身体を元気にしてくれる食べものと言えば山菜。コゴミやワラビは言うまでもないが、芽吹いたばかりの木の芽は珍重される。こちらでは、木の芽と言えばアケビの葉のことだ。サッと湯がいて、クルミの実などとともに口に入れて広がるあの独特の苦味は、まさに春の味だ。だが、木の芽は、本来、サンショウの新芽を指す。鮭の焼き身の乗せたり、たけのこご飯に、また木の芽味噌にもする。日本人に古くから愛された、ハーブである。

少しばかり早き夕餉の木の芽和え 下村ひろし

一つかみの木の芽を持ち帰って、鮭のルイベに乗せて食べると、想像以上のおいしさだ。値上がり時代の食卓には、こんな日本の知恵を復活させたい。ウコギという木の芽をもある。米沢藩の上杉鷹山が推奨したものだ。今も、米沢には生垣にウコギが用いれている。春、芽吹いたウコギの芽を摘んで、ウコギご飯にする風習は、今も連綿と続いている。
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シンエイザクラ

2022年05月02日 | 登山
世間はゴールデンウィーク。コロナも収まりを見せ、この連休はやっと旅行や里帰りができる。テレビでは、ホッと一息つく街の様子が写し出される。だが、その安堵の向こうには、戦争の惨禍と、あらゆる生活資材の値上がり、落ち込んだ社会活動の復帰。山と積まれた難題が待ち受けている。そんな不安を考えてもどうにもならない。雨が上がった日、近くの三吉山を歩いてみた。

この間まで咲いていた桜は、緑の葉をまとい、雑木の新緑は目にやさしい。水場の上の参道にはヤマブキの黄色の花が盛りである。見なれた岩海にくると、二人の女性から質問を受けた。若い女性から、「シンエイザクラは咲いていましたか」初めて聞く桜の名であったので、遅咲きの桜は咲いていましたがと、答えを濁すと、「ここにだけ咲く固有種なんです。この間見にきたのですがまだ咲いてなくて」と若い女性が、三吉山の固有を強調する。やがて咲いた桜が見えると、「あ、あれ。咲いていました」

しばらく下ると今度は中年の女性。「ちょっと聞いていいですか。ここにシンエイザクラいう桜があると言うので見に来たのですが、分かりますか。」「ええ、さっき若い女性が見つけてあれがそうだと言っていましたよ」「わざわざ、あの桜を見にきました」とあくまでもシンエイザクラにこだわりがある。今頃咲くのは、確かに珍しいが、見た感じではヤマザクラと少し違っているようだが、さほど変わりばえしているようにも見えない。この近くの人たちは、郷土の花として誇りに思っているのかも知れない。

帰宅してネットで調べてみた。「シンエイサクラは山形県の植物相を研究している加藤信英氏の名をつけている。初め、オオヤマザクラとミヤマザクラの種間雑種と考えられいたが、調査の結果、独立種であることが判明。特徴の細部が書かれているが、ここでは略する。山歩きのご褒美に、上山の里山にある独立種のシンエイザクラの存在を知ることができた。
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皐月

2022年05月01日 | 日記
今日から新しい月が始まる。五月は月の呼び方で皐月とも言われる。桜は終わったが、昨日の散歩で牡丹が咲くのを見、ツツジが満開を迎え、何よりも新緑が美しい。一年で一番好きな月かも知れない。

山に鳥多くなりたる皐月かな 滝沢伊代次

新しい月が始まると、心も新しい日々に向かって開かれる。今年は生活習慣を見直しているが、一月から晩酌を止め、ほぼ達成することができた。山野に出る山菜を食卓に並べ、少量のアルコールを老妻と楽しむ夕べも迎えられるようになった。

今取り組んでいるのが、睡眠の質の改善である。安易な気持ちで使い始めた睡眠導入剤が習慣となり、それなしに眠れなくなくなった。量を少しずつ減らして導入剤なしの夜を目指したが、昨夜ついにそれが実現できた。入眠して4時間ほどで目が覚める。それから次の眠りに入るまでの時間の過し方である。そこから眠りを意識しないこと。自然に眠りにつくのを待つ。一昨日の前まではこの待つ時間をなくすために導入剤を使った。眠れないことを気にしない。一昨夜は導入剤を飲まないで、電灯をつけて読書をした。朝まで眠らなくてもいいと思えた。妻が起きて、朝の準備を始めている。明るいなかで眠りがやってきた。それでも一晩で5時間足らず。朝食をとりながら睡眠不足を実感する。
散歩しながら、初夏の新緑と、到るところで咲く花々を愛でる。食後に睡魔がくる。決して昼寝をしない。夜は、導入剤なしのよい睡眠が得られる筈だ。目覚めの時間に読んだ読書。河合隼雄『明恵 夢を生きる』。ユングの夢の分析。ある戦争神経症の患者が見る夢。「一軒屋で、夜に窓を閉め忘れたことに気づき、確認して歩くと最後に大爆発が起こって怖ろしさに目を覚ました」それを聞いたユングは「大爆発のときに、怖がらずに何が起きているかよく観察して」すると、患者はまた同じ夢を見て、最後の窓のところで、ユングの言葉を思い出して窓を見ると、今度は爆発は起らずライオンが吼えていた。ここで怖くなり目が覚めた。ユングがライオンをよく見るようにと助言すると、今度はライオンではなく人間が侵入してくるところに変わり、最後には悪夢を見なくなった。

眠れないという意識もこの悪夢の話に似ている。眠らなくてもいいと、意識を変えると、時間が経てば、導入剤がなくても、難しい哲学の本がなくても、リラックスして眠りを待つ間に、忘れたように眠りについている。
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