五条通と大宮通の交差点の近くに、古い大きな看板を掲げた1軒の町家があります。
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「ここ、なんのお店?」前をたまたま通りかかったミモロは、興味津々で中を覗くと…。
ショーウィンドのようなガラスの中に、大きな竹が並んでいます。
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「竹のお店なのかな?でも、よくある竹工芸のお店なら、竹籠やお箸なんか置いてるよねーでも、なんにもそういうものがないー。あるのは大きな竹ばかり…フーム」と、首を傾げるミモロです。
「いらっしゃいませー」と声をかけてくださったのは、このお店の店主の利田淳司(かがたじゅんじ)さんとお父様の章司さん。
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「あのーここは、なんのお店ですか?」と、恐る恐る小さな声で尋ねます。
「この店は、竹材の専門店なんですよ」と。「竹材?」「そう、お茶室や日本建築、庭の垣、美術工芸などに使う竹を扱っているんです…」
ここ「竹平商店」は、大正4年(1915)に創業され、京都の竹を中心に、さまざまな種類の竹を扱う専門店です。現在の店主、利田淳司さんは、4代目だそう。
「ということは、ここに来るのは、建築関係の方とか、竹でなにかを作る専門家なんですね。ごめんなさい…知らずに入っちゃいました…」と、ミモロはモジモジ。
「あ、全然、気にしないでください…今日は時間があるから、よかったら、いろいろな竹をご覧にいれますよ」と。「えー!ホント!じゃ遠慮なく…」と、ミモロは、急に嬉しそうな顔に。
「よく外国の方もお見えになるんです。日本の竹のことを、もっといろいろな方に知っていただければ嬉しいです」と。さっそく店の奥へと進みます。
お店と言っても、そこはまるで竹の倉庫という感じ。
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進む度に、ライトがつけられ、普段は、暗い状態です。
「世界には、数百種類におよぶ竹があると言われています。でも、日本ほど、竹をさまざまな生活の場で使ってる国は、他にはないと。だから、うちのような専門店もあるんです。京都は、昔から良質の竹の産地で、美しい姿の真竹などは、多くの日本建築に使われています。昔は、京都にも、竹材の専門店は、いくつかあったんですが、この規模でやっているのは、たぶんうちだけかも…日本の美を形作るには、竹材は欠かせない素材なんですよ」と、利田淳司さん。
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囲炉裏の煙で200年ほど燻された茶褐色の「煤竹(すすたけ)」。ゴマのような点々が表面にある「胡麻竹」。亀の甲羅のような感じの「亀甲竹」。すくっとした姿が清々しい「真竹」など、さまざまな種類の竹がズラリと並んでいます。
いずれも異なる趣を漂わせ、日本建築などの美を創造する、美しい自然の素材です。
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竹は、イネ科に属する植物。竹の成長スピードは、植物界でナンバーワンで、最盛期の筍の伸長量は、1日で1メートル以上を記録することも。見ている前で、伸びてくる感じです。ほぼ2~3か月でりっぱな大人の竹になります。
さて、日本において竹は、古代から神が宿る依代として、特別尊重されています。天に向かって一直線に伸び続ける竹は、その成長の速さや年間を通じ清々しい緑の葉を付けることから、まさにあふれる生命力の象徴でもあるのです。神社では、竹は神事に欠かせない清らかなもの。
「かぐや姫も竹から生まれて来たんだよねー」とミモロ。日本最古の物語と言われる「竹取物語」。その主人公のかぐや姫がいたのは、竹藪の大きな竹の中ですが、それは、竹が神聖なものであり、そこにいるお姫様も、神聖なものということを示しているとか。
「竹の中には空間があるから、ちょうどいるのに具合がよかっただけじゃないんだー」。そういくらスペースがあっても、野鳥が巣をつくる楠などの雑木林の木では、あの美しく清らかなイメージは生まれませんね。「くすのき姫じゃ、ちょっとゴツゴツした逞しいお姫さまになっちゃうね。それに他の木だと、なんか着物に、アリとか虫が付いてそう…」。もう、ミモロったら…。でも、確かに、竹には、虫が付かない…。不浄なものを寄せ付けないというイメージも、竹は備えているんです。
「あ、これなんですか?竹がお帽子かぶってるー」と。
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「それは、竹の根の部分です。ちょっと面白いでしょ。細かい根を全部取るとこんな形ですよ」と。
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「なんか大きなツクシみたい…」
「それは、花入れなどに使うと趣がありますよ…」
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本当に、さまざまな種類の竹があり、その圧倒的な量に、ただただビックリ。
茶室や日本建築の多い京都。その美しい日本の美を支える竹材の専門店。そんなお店があるのも、京都ならでは…。ふと立ち寄ったお店が、スゴイ!というのも、京都らしいことですね。
*竹の詳しいお話など、ぜひ「竹平商店」のホームページでご覧ください。
お店の中を案内して頂いたミモロ、ふと作業机の上に目が…。
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「あ、それ茶杓です。いろいろな作品を作っているんですよ…。よかったら作るところお見せしましょう…」と、先代のご店主の利田章司さん。実は、茶杓作家さんなのだそう…。
「わー嬉しい!ぜひ見せてください…」とミモロは、章司さんの後に続きます。
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