「オニノヤガラとボリボリ(ナラダケ)の不思議な関係」
都会に住むと野のキノコにもなかなか出会えません。ボリボリもこの10数年採ったことがありません。
このほど「やぶら新書」の第十二巻「山樹野花」(栃内吉彦著)という、変わった書籍を見ることがあり、そこにオニノヤガラとボリボリの不思議な関係について書いていました。
この本の「オニノヤガラ」に関する記述を転載させていただきます。
オニノヤガラ
みそ汁の実にして味覚を楽しませてくれるボリボリすなわちナラタケと特別な関係を持つオニノヤガラ(鬼の矢柄)という欄科の植物がある。
日当たりのわるい林地に、葉も何もない茶色がかった茎が地面から一メートル余りもすっと立ち、その先の方に20㌢もある花穂をつける、地にささった矢柄を思わせるのでこの名がある。
オニノヤガラ 7月24日撮影
その根元を掘ってみると、いものような形の塊茎があり、その表面に黒かっ色の針金のようなものがまくわりついている。
これはナラタケの菌系束で、これから細い菌糸を出してオニノヤガラの塊茎の組織に侵入し、これを犯して養分をとるが、やがて塊茎の内部にじょうぶな防御組織ができて、菌系のそれ以上の侵入は阻止される。
そこでこんどはオニノヤガラの方が逆に繁殖したナラタケの菌糸を消化して吸収する。
かくてナラタケとオニノヤガラはギブ・アンド・テイクの共存を続けるわけだが、食いつ食われつだから平和共存とはいわれまい。この植物は一名ヌスビトノアシとも呼ばれ、アイヌはオショロコマップとかウニンテクなどといって、その根茎を食用にしていた。