「ティラ川に、ある季節に一面に花が咲くという」
ハンガリーに流れるティラ川(セルビアの首都ベオグラードから200㌔離れたカニシャの町の近郊に流れる川)に、ある時、川一面に花が咲くといいます。
どう云う花なのでしょうか。川面に一時に花を咲かせるなどという花はあるのだろうか?
話をきいて興味津々です。
ティサの開花、期待満面で、テレビ(NHKテレビ・日曜日「ダーウィンが来た」)に見入ります。
ティラ川の花、なかなか画面に出てきません。穏やかに流れる川だけが画面に映し出されています。この水面に一面に花が咲くとはおかしい、待つ時間、不思議な感じです。
気候は晴天、川の水は少ない時が良いと言います。
実は「オナガカゲロウ」が一斉に羽化し、川面を覆うのです。
数は数百万匹ほど、はじめに雄が羽化し、2時間ほどの命だそうです。時間がずれて雌が羽化します。
セミの羽化は10数日に渡っても行われますが、このオナガカゲロウはその1日だけに羽化が起こり、空に舞うのだそうです。
遅れて羽化した雌に交尾しようと雄が群がります。この様子が川面に花が咲いたように映るのだそうで、ティラ川一面に花が咲いたように見えるのです。
季節はその年の気候にもよりますが、2014年では6月16・17日でした。
羽化したカゲロウは2時間ほどの命なので、カゲロウが飛ぶ数で川は覆われます。
交尾が終わったメスたちは上流に上流にと飛んでいき、そこで産卵します。卵は流されて、ティラの開花の場所近くまで流れ着き定着し、長年の水中をして自然が繰り返されるのです。
オナガカゲロウが群米は、以前欧州諸国で見られたそうですが、今ではハンガリーの地のみになってしまったとのことです。水質の良好な川を示す指標になっていると言われます。