「跡を絶ゆ」という用語には「人跡が絶える。人の行き来がなくなる。」という語釈があり、日本国語大辞典・第二版では1001-14年頃の用例を古い例として挙げていますが、さかのぼる用例が複数あります。
小見出しとしては助詞の「を」無しで、「跡絶ゆ」で良いような気もします。
落盡閑華不見人
あと絶てしつけき山に咲花のちりはつるまて見る人もなし
(巻第百七十九・句題和歌、春)
塙保己一編『群書類従・第十一輯(訂正三版)』続群書類従完成会、1993年、452ページ
としふかく-つもれるゆきの-あとたえて-ひとかよひちの-みえぬわかやと
(躬恒集・320)~日文研の和歌データベースより
式部卿の親王、しのびて通ふ所侍りけるを、のちのち絶え絶えになりたるころほひ、妹の前斎宮の親王のもとより、この女のもとに、このごろはいかにぞとありければ、その返事に
白山に雪ふりぬればあと絶えていまはこしぢに人も通はず
(冬、四七一)
松田武夫校訂『後撰和歌集(岩波文庫)』岩波書店、1945年、83ページ