日本国語大辞典・第二版には「染め残す」という単語は立項されていませんが、和歌に複数の用例があります。以下に古い順に挙げます。
けふぞ見るさぎさか山の白つヾじいかで佐保姫染残しけん
(頼政集、春、一八ページ)
『日本歌学全集 第八編』博文館、明治24年、100ページ
ゆふつくひそめのこしたるやまかけのこのははかりやしくれまつらむ
(道助法親王家五十首・648)日文研HPより
おのつからちらぬしたはやみむろやまいろそめのこすしくれなりせは
(為家千首・854)日文研HPより
そめのこすこすゑもみえすたつたひめいろのちしほのよものもみちは
(弘長百首・338 基家)日文研HPより
そめのこすまつはさなからみとりにてやまのこのはそなへていろつく
(延文百首・2853 時光)日文研HPより
二品法親王覚誉家五十首歌に 法印経賢
山姫や染残すらん紅葉ゝのかけより落る滝の白糸
(新続古今集・秋歌下・575)国文学研究資料館HPより
秋歌の中に 右大臣
染のこすかきりは松にあらはれて紅葉色こき秋の山の端
(新続古今集・雑歌上・1759)国文学研究資料館HPより