日本国語大辞典・第二版には「慕ひ侘ぶ」という単語が立項されていませんが、和歌に複数の用例があります。
語釈としては「思い嘆く。思い嘆き、心細く思う。」という意味かと思います。恋歌に用いることが多いようです。
したひわびなくはならひの別路になにとか鳥のねをもかこたん
(15・続千載和歌集、巻第十三・恋歌三、1346/1349)
『新編国歌大観 第一巻 勅撰集 歌集』角川書店、1983年、508ページ
したひわひおもかけうかふこころこそいつもくもらぬかかみなりけれ
(延文百首・1583)日文研HPより
ひとりねにあふと見えつる面影の覚る夢路をしたひ侘つゝ
(新千載和歌集・恋歌二・1158)国文学研究資料館HPより
したひわひあまたの春を送りても花に老ぬる身こそ惜けれ
(新拾遺和歌集・雑歌上・1547)国文学研究資料館HPより
したひわひわかれもやらぬきぬきぬにとりのやこゑをかさねてそきく
(新葉集・恋三・860)日文研HPより
あはてたに年へぬる身のいつの間に今朝の別をしたひ侘らん
(新続古今集・恋歌四・1336)国文学研究資料館HPより