司馬遼太郎記念館 1 ~「菜の花忌」に寄せて
いつも、急行列車の車窓から垣間見る、通り過ぎるだけの駅に初めて、降り立った。
東大阪市の近鉄「八戸の里(やえのさと)駅」。
「戸」を「え」と読むのは、まったく、正しい読み方だ。
初めて、降り立った駅の改札を出たとき、ワクワクするのは、旅人の習性だが、今日のワクワク感は、それだけではなさそうだ。
行こう行こうと思いながら、あまりに近いので、「また今度」と思い、とうとう、行かなかった「司馬遼太郎記念館」を初めて訪れることにしたのだ。
終生、菜の花を愛した司馬遼太郎にちなんで、彼が没した2月12日を「菜の花忌」と称するが、この日が近づくと郷土の偉人を偲んで、街の至る所が菜の花で飾られる。
八戸の里駅から徒歩8分(河内小阪駅からは約12分)で「司馬遼太郎記念館」に到着する。
受付を通ると瀟洒な自宅と手入れの行き届いた庭園があり、菜の花はじめ、たくさんの季節の花に包まれている。
庭園には歌碑があり、その奥に安藤忠雄氏設計という、ゆるくカーブを描くモダンな建物ー「記念館」がみえる。
エントランスに続く長いアプローチにも菜の花が飾られている。
エントランスからロビーを抜け、展示室に入ると、高さ11m、壁面いっぱいの書棚に圧倒される。
「大書架」と呼ばれ、約6万冊といわれる、蔵書世界を想像してもらう空間である。
(HPより拝借)
記念館は司馬作品との対話、自分との対話を通じて、何かを感じ取ってもらうことを設立趣旨としているそうだ。
人間にとって、その人生は作品である。(司馬遼太郎)