奈良公園「冬の鹿寄せ」 ~ホルンに誘われて・飛火野
奈良公園の風物詩「冬の鹿寄せ」。
主催する「奈良の鹿愛護会」のスタッフが奈良公園の一角、飛火野でナチュラルホルンを吹くと、その音に誘われて、公園のあちこちから、鹿たちが一目散に走ってくる。
好物のどんぐりを貰えるのを知っているからだ。
なかには、看板に書かれている開催日時を読んで、待ち構えている鹿もいたりなんかして。
なぜなら、いつもより、鹿の数が多いような気がしたから。
「おばちゃん。鹿せんべい、ちょうだい。」
「アホか!あんたら、お金持ってへんやないの。お客さん、買うまで待っとき~な。」
「そんな、殺生な!お客さん、いーひんやん。」
「ほんならな、もうすぐ、飛火野でホルンの音が聞こえるから、行ってみ。
どんぐり、貰えんで。」
「ほんまかいな。ほな、行ってみるわ。」
「飛火野、来たけど。何か先客がようけ、おんなあ。
あっ!ホルン持った、にいちゃん、来たでぇ。でも、シカトされてる。」
「なんか、係の人、シカってはったんちゃう?」
「ちやうねん。後ろに一団になって、進路を塞いでいる人がいててん。」
「そら、シカたあらへんなあ。」
「あ~あ!あんまり、ぎょうさん来るから、競争激しゅうて、どんぐり、あんまり、貰えんかったわ。
でもな。どんぐり、くれるの、あのにいちゃんやて・・・
シカと見届けたで。」
「なんか、急にさぶ~なってきたわ!」
「そら、冬やさかいなあ。」