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浅い眠りから目を覚ました。夢を見たようだった。なにやら奇妙な感じだけが残っていて、どんな夢であったのか思い返して見てもついに思い出すことはできなかった。
まだ早い時間で眠ろうとしたが、想いがさまざまに働いてどうすることもできずやがて諦めて起きだした。
里依子との約束の時間まで特にすることもなかったので、私はホテルを少し早めに出て、昨夜の北大をせめて主屋だけでも明るい日の中で見ておこうと考えた。
十分ゆとりを持たせて昨夜の門から北大に入って行ったが、明るい朝の日差しを受けたその場所は、現実に帰ったもののように当り前の風景として私の目に映るのだった。しかし昨夜雪原に描いた私の体の痕跡だけはその時の夢の痕跡を残しているかもしれないと思い、そちらに向かった。
ところが途中から時間が気になり始めた。私は時間に追われるのがいやで時計を持たなかった。思わぬ時を過ごして約束の時間に遅れるかも知れない。そう思うと私の心は不安の色に満たされた。
あわてて道を引き返し、私はぬかるんだ道を足早に歩きはじめた。
里依子は今頃約束の場所に来ているかもしれない。そう思うと、寄り道をしようとした自分が情けなくなってくる。想いが負の方向に傾くと、心は不安をつ作り出す。私は約束の時間を三十分も四十分も遅れているかもしれないという不安を追いかけるように駆けだすのだった。
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