雪解けのぬかるんだ街を
一直線に貫く道を
重いおもい心が歩いてゆく
今しがた別れた人を振り返りもせず
ああ私は何をそのように急ぐのだろう
急いで 急いで
崩れゆく自分を一歩一歩青ざめた道に敷きつめていくように
明日を持たないもののように。
やがて
千歳川が私に近づき
この清らかな流れに そのせせらぎに
私は次第に心奪われていくようだ。
大きくしなった体躯はいかにも厳しく
黒々と並ぶ水際の木立さえもが
寂寂と切り詰められているではないか。
水底には身を固く引き締めたウグイや鱒が腹をこすっているというのに
川はますます清らかになって
ああ それがあまりにも女に似て
私は嬉しいのやら悲しいのやらわからなくなってくる。
川よ
お前はどうしてそんなに冷たく流れ去って行くのだ。
どうしてそんなに とうとうと流れてゆくのだ。
たまらなくなった私はお前を遡る。
歩いて歩いて、力尽きるまで歩いて
弱々しい西日が山端を指して静かに消え入る頃
私は川を渡る初めての橋の上。
さざ波をすくい上げるように眺め
心からの涙を川面に落とせば
ふるえる体を止めることもできずに疲れ
倒れかけた
バスストップの赤く丸いもののそばで
いつまでも
いつまでも待ち続けていた。
HPのしてんてん
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