子供嫌いだった一人暮らしのおばあさんが、その日から人が変わったというのが、近所のうわさになった。
おばあさんの家からは、いつもおいしそうなお菓子の匂いが流れて来て、子供達の鼻をひくひくさせた。
窓は大きく開け放たれ、不気味だった庭の柵も取り払われた。だれでもおばあさんの家の前にくると、おばあさんが元気にケーキを焼いている姿を見ることが出来た。
毎日おばあさんの家には子供達の笑い声が絶えなかった。
おばあさんの自慢のケーキがいつも子供達を待っているのだ。
集まってくる子供達の中には、行方不明になっていた子供達も何人かいた。
その子たちが来ると、おばあさんはきまってメリーゴーランドの物語を話して聞かせた。
それはメリーゴーランドに乗って子供達が空を飛び、天国にいっておみやげをいっぱいもらって帰って来るという、おばあさんの作ったお話しだった。子供達は喜んで聞いている。
そのうちにおばあさんは、子供達が喜びそうなお話しをいくつも作るようになった。
いつしかおばあさんの家は子供達の遊び場になった。
おばあさんはケーキを焼き、子供達にお話を聞かせた。
そうして集まってくる子供達の数だけ幸せが増えて行くようにおばあさんには思えるのだった。
そのうちに、おばあさんの家には世界中の子供達の数ほどの幸せが集まって来るかも知れなかった。
おばあさん、いつまでも幸せに。
今回の宝物、古びたくまのぬいぐるみ。
ぴょんたは心の中の宝箱にぬいぐるみをそっとしまい込んだ。
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