おばあさんの家のタンスの上に、もうすっかり古くなってすり切れてしまったクマのぬいぐるみが置いてあった。
「おばあさん、あれは。」ぴょんたが聞いた。
「ああ、あれかね、今までなんとなく捨てられなくてね、子供のころからもっていたものだよ。おかしいかい。」
「マギーちゃん」ぴょんたは小さなぬいぐるみをしみじみと見た。
「そう、マギーちゃんだったわ。どうしたんだろう、不思議な気持ちだわ。こんなものと思うんだけどね、今とってもこれをあなたにあげたいような気分なの。変だね。」
「いえ、ちっとも変なことないです。」ぴょんたの胸が熱くなった。
「もらってくれると言うならね。」
「いただきます。」ぴょんたは古びたクマのぬいぐるみを大切そうに抱き抱えた。
「その代わりこれを。」そういってぴょんたは身につけていたペンダントをおばあさんに渡した。
「ありがとうよ。」おばあさんはペンダントをひたいに押し付けるようにして受け取った。
日はもう西の方に傾いていた。みんなはめいめいに、おばあさんにケーキのお礼とお別れを言って午後の町に出た。
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