のしてんてんハッピーアート

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四、ユングの手紙 (女司書)2

2014-10-31 | 小説 黄泉の国より(ファンタジー)

  「これ、何の図かしら。」

 「多分、図書館だと思うよ。」カルパコが身を乗り出して図を指さした。

 「ほら、ここが図書室で、この横が司書室だろう。」

 「するとこの赤い線は何を意味するの?」

 「ここを通おれってことだろうな。ここのところが、二枚目の文と合うだろう。ほら。」カルパコは図の右下の扉を指さした。

 「配置図右下の小さな扉から入れ、か。ほんとだ、きっと、そうよ。」

 「すると、この図の、行き着く先は、もしかしたら古文書の置いている書庫だろうか。」

 「ちょっと待ってよ、どうしてユングが私にこんなものを手紙で渡さなきゃならないのよ。」エミーが思い出したように言った。

 「さあ、」

 「だって、あの日、わたし達はユングに古文書の書庫に入れてもらうはずだったでしょう。だったら、そんなものいらないじゃない。」

 「そうか。なんだか不自然よね。」

 「あの日、ユングさんは館長にお願いしてからって言ってたよな。」

 「書庫の鍵のこと?」

 「そう、その館長がもし鍵を渡せないと言ったとしたら。俺達を中に入れさせないと、ユングさんの申し出を断ったとしたら。ユングさんが、俺達にこっそり、書庫に入る方法を教えようとしたと考えても不自然ではないだろう。」カルパコは頭の中をまとめながらしゃべった。

 「それはそうだけど・・・」エミーは考え込んだ。

 「なんてことなの。」そういって、エグマは突然走りだした。

 皆はアッケに取られてエグマを見送ったが、すぐにその訳を知ってエグマの後を追った。

 「待って下さい。」

 エグマは帰ろうとしているミネルバに追いついて話しかけた。

 「あなた達は昨日の、」

 「ええ、」

 「私達、少しお聞きしたいことがあるの。」

 「ユングのこと?」

 「ええ、私達あの日、古文書の書庫に入れてもらう事になっていたのです。そしたらあんなことになってしまって、そのことでユングさんは何か言っていませんでしたか。」

 「そう、何も聞いてなかったのね。」

 「何かあったのですか。」

 「少し歩きましょうか。」

 ミネルバはそう言って道を外して、草原の方へ足を踏み入れた。四人は黙ってミネルバの後をついて行った。ミネルバの後ろ姿は、寂しさを包み込んで耐えているような印象を与えた。空は薄く曇り、柔らかい日差しが西に傾いていた。ミネルバは手頃な倒木の上に腰を下ろした。四人はミネルバを取り囲むように思い思いの場所を見つけて座った。

 

 

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