私の妄想なのかも知れなかった。しかし目の前の靴が踊りだすのを見て、私は不思議にもそれを当然のように受け止めた。
その靴の上にありありと芹里奈の姿を見ることが出来た。
そして、カモメのポーズをとった芹里奈が、あの時のように私に笑いかけたのだ。
「許してくれるのか・・芹里奈・・」
私は大きく両手を広げて芹里奈に向って胸を開けた。
熱い波動が体を貫いた。
心が溶鉱炉の鉄のように溶け出し、下方に流れ始めた。
熟れた塊が私の体を押し破るように共鳴して振動し始めると律動が全身に広がり、
私は恍惚の中で激しく放出した。
芹里奈の背後にある宇宙の大きな闇の中に、私のすべてを解放するような交合が今起こったのだ。
下半身がべっとり濡れていた。
目の前の靴は何事もなかったようにそこに置かれたまま静かに並んでいる。
にわかに芹里奈の声が聞こえてきた。
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