
スケール号は原子よりも小さな素粒子より、もっと小さな体になっている。そう、スケール号は今、素粒子の上に着陸できるほどの大きさなのだ。
そこから見る 原子は宇宙に浮かぶ太陽のようだ。自分の大きさを変えることで同じ物でも全くちがった世界に見える。この不思議な出来事もスケール号の乗組員達にはもう慣れっこになった。
その太陽原子が、次々と揺らめいて素粒子を手放し、空は、好き勝手に飛び交う素粒子で大混乱が起こっていた。一瞬たりとも気は抜けない。
スケール号はゆっくりと光の川に近づいた。無数の光の球が同じ方向に飛んでいる。まさに大きな川だ。 スケール号はその川の真上に来た。
「よし、あの粒にしがみつけ。」
「ゴロニャーン」
スケール号は川の流れに沿って進みながら、流れてくる球体に目標を定めて近づき、両腕を広げて抱え込んだ。子猫が毛玉にじゃれ付くような感じだ。
つかまれた光の球は、迷惑がりもせず、進路も変えずに仲間とともに流れていく。 スケール号はまるで川の上に浮かんで、流されて行くように見えた。
「ひえー、ジェットコースターみたいでヤす」
「らくちんだスな」
「光になったみたいです」
窓を見ながら、みな口々に感想を言っている。誰も聞いていないし、言っている本人もそんなことは気にしていない。みなその光景に心奪われているのだ。
「すごい圧力です、博士、スケール号は大丈夫でしょうか」
「心配いらない。スケール号は艦長の意識とともにあるのだからね。不安を持たずに、前を向いていればいい」
こうしてスケール号は原子の宇宙を移動し始めた。
原子宇宙の空は、何連発もの花火を見るように華々しい光の洪水だった。あの光の数だけ、この宇宙に新しい物質が生み出されているのだ。そう考えると、それは何か命の誕生を祝うお祭りのようにも思われた。スケール号の乗組員達は、その美しい光景にただ見入るばかりだった。
ただスケール号だけが、必死で光の玉を抱えている。
「ふるにゃゴ~」
気の毒に、周りを観察するゆとりなどなかったのだ。
やがて光の川は、お祭り騒ぎの空間から、静かな、ほとんど何もない空間に出た。真っ暗な空間がどこまでも続いて、ときおり星のような原子の姿がちらほらと視界に入って来る。その他には雲ひとつない闇の空間だ。
「やっとブラックホールから脱出したぞ。」博士が喜びの声を上げた。
「でも、まだここはブラックホールみたいですけど、博士。」
「そうだス。にぎやかな空ではないだスが、真っ暗だス。何も見えまないだスよ。こっちの方がブラックホールみたいだス。」
「博士、本当にブラックホールから抜け出たんですか。」艦長が聞いた。
「間違いない。ここは通常の宇宙空間だよ。」
「でもここが宇宙だったら、もっと星が一面に見えていませんか。」ぴょんたは、まだ納得しない。
「スケール号は今、原子より小さな体になっているのを忘れてはいけないよ。」
「というと・・・」
「ああ、そうでしたでヤすね。でも、ここは土の中のように何も見えないでヤすよ・・・」
モグラのもこりんにしたら、真っ暗で何も見えないのは土の中だ。でもその時には体の周りにしっかりと土の香りがしているものだ。真っ暗で、見渡す限り何もない世界なんて、見たこともなかった。スケール号は何もない真っ暗な空間にポツリと浮かんでいるのだ。
「宇宙空間を原子の世界から見るとこうなっているのだよ。何もないのじゃない。これが宇宙の本当の姿なのだ。」
「本当の・・・ですか」
「宇宙の基本形とでもいえばいいかな。」
「基本形だスか・・・」
「わからなくてもいいから、覚えておきなさい。すべてのものは、この空間がつくっているのだ。さあ艦長、もういちど星の大きさに戻ろう。ピンクの銀河だ。」
「それでは博士、スケール号をもう一度星の大きさに戻します。」
「ゴロニャーン!」
スケール号は急速に大きくなり、ブラックホールに飲み込まれる前の大きになった。見慣れた宇宙が戻って来た。爆発した星の周辺には幾つかの明るい星が生まれていた。しかし辺りをくまなく見渡しても、あのパルサー星は見当たらなかった。やはりブラックホールに落ちこんだのだろう。
「チュウスケもブラックホールに落ちたのでしょうか。」
「さあ、どうだろうな。」
「もしそうなら、もう二度と悪いことは出来ないでヤすかね。」
「分からないだスよ。チュウスケの事だスからね。」
「さあ、チュウスケの事はもういいだろう。それよりこの眺めをよく見ておくんだ。」博士はみんなに言った。
「ハハ~ハハハハ~ハハハハ~ハハ~ハハハハ」
突然スケール号のスピーカーから奇妙な声が聞こえて来た。笑っているのか、叫んでいるのか、歌っているのか、分からない、悲しいような、楽しいような響きがひとしきり続いた。
「何でヤすか、この声は。まさかチュウスケではないでヤすか?」
「いや、そうじゃない。危害を与えるような悪い感じじゃないよ。悲しんでいるような声に気こえる。」艦長が言った。
「ハハハハハッハハッハッハハッハハハッハッハハハ」
「星の死は、とてつもなく大きな出来事だったが、それ以上に大きな宇宙の意志がどこかにあのかもしれない。」
「どういうことですか博士。」
「星の死に対してか、なにか別のことかもしれない。宇宙から何らかのメッセージが発せられているのだ。それがスケール号にまで届いているのだろう。」
博士はこの神秘的な宇宙の歌声に耳を傾けながら言った。
「なんだか母親の子守歌のように聞こえます。」ぴょんたが言った。
「子供の死を悲しんでいるようだス。」
「友達を呼ぶ声に聞こえるでヤす。」
「ハハ~ハハハハ~ハハハハ~ハハハハ~」
切ないような、甘いような。冷たいような、暖かいような不思議な声は次第に小さくなってやがて消えた。
「今のは何だったのだスかね。」
「気味が悪いような、懐かしいような、夢を見ているような。」ぴょんたがしんみりして言った。
「宇宙は分からない事だらけだ、考えて立ち止まるよりも、進もうじゃないか。」艦長が言った。
「分かりました。」
「分かったでヤす。」
「分かりましただス。」
「よし、スケール号、ピンクの銀河に向かって出発する。」
「ゴロニャーン」
スケール号は再び光速航行を始めた。全天の星がスケール号の前方に集まり白い光の束になった。
つづく
いつも楽しく読ませていただいています。
ふと思ったのはこの物語は「輪廻転生」の物語なのかなということです。
別に確証はありません、直観ですが・・・・。
次回を楽しみにしております。
輪廻転生もあるでしょうね。
輪廻転生のイメージは、四次元の概念がつくり出したものなのです。
つまり、命は時間系列に沿ってつながっており、その先と尻尾がつながって輪をつくっているという考え方ですよ^ね^。
スケール号の旅は五次元の概念で見た世界旅行なのです。
五次元では時間は無くなります。すべては同時に存在する世界で、輪廻転生が丸ごとこの一瞬の中に存在するのです。
あっ、ごめんなさい。あまり頭を使わないでください^ね^
考えない方が面白い。
五次元は感性の世界。
面白ければいいのですから。
からくさんの文書、いつも心くすぐられるようで好きです。
よろしくお願いします^ね^
冷たいような♪暖かいような♪
気味が悪いような♪懐かしいような♪
夢を見ているような♪
不思議な歌声は☆♪
コスミックバラードでしょう ^ か ^♪
以前から感じていたのですが、
こちらのお花も不思議!
お話(放)しをしている☆お花のよう☆♪
フラクタル構造にもなっているようですね。
宇宙意識の意志を持ち、宇宙言語で、
宇宙物語を高らかに歌い
放(花)っているようです♪
ほんとうに、不思議がいっぱいです ^ ね ^♪
真鹿子さんの花「鹿子草」というのですよ。
(私の調べた限りおそらくですけど)
オミナエシ科の植物で、薬草、精神安定に良いとされているようです。(吉草根キッソウコン)
私が毎日やっている早朝草引きの業、その浜辺に群生している花で、写真のものは花がおちた後の姿です。
花房はフラクタルになっていて、枯れ始めると徐々に花房を内側に巻き込むようになって、紹介している雰囲気をつくってくれます。
それだけで物語が生まれそうな花です^ね^
宇宙を感じるんです。
スケール号にぴったりで、毎回登場願っています。
花は白くて、平面に並んで咲くのですが、枯れ始めると花弁を中心に巻き込むようにボールのかごが出来ます。
ゆりかごのようで、宇宙のようで、不思議な花なんで^す^
お花は見たことがあるような気もするのですが、
枯れ行く姿がなんとも摩訶不思議 ^ ^♪
まるでブラックホールを形成しつつあるかの如き枯れ様●
やはり、鹿子草さん!タダ草ではありませぬ ^ネ^ ;
のしてんてんさん、毎朝、
草引なさっておられるのですね。
わたくしものしてんてん様の一人旅通信を
毎朝少しずつゆっくり拝読、朗読させて戴きながら
感涙!ご一緒させていただいております。
5次元宇宙に生きる!も素晴らしいですね。
同感です!有り難うごさいます☆
これからも、のしてんてん5次元宇宙を
心魂籠めて学ばせて戴きます。
あらためまして、どうぞよろしく
お願いいたします。
鹿子草ブラックホール風に枯れ
ホワイトホール 一途に目指し 真鹿子(まかこ)
ご厚情感謝申し上げます!
もうひとつお伺いしたいことがあるのですが、
ゴロニャ~ンスケール号のオデコのオレンジは、
☆第三の目☆なのですか、なんだか、
☆第三の目☆じゃないかなぁって
感じてるんですけど ^ ^♪
宙に浮かんだゆりかごや、お腹に種子房を抱えた球形の天体。それは妖精の森だったのです。
様々な物語が飛び出してきました。
これほど想像力は素晴らしいものなのか、と思いました。
私自慢をしているのではなく、人間の本質は想像力だとその時思ったのです。妖精は想像力が体現した生き物なのです^ね^
ところでスケール号です。
額のオレンジは、様々な用途で使われます。
①乗組員の搭乗口
②スケール号ビームの発射口
③翻訳通信のアンテナ
④外気環境探査装置
⑤意識感応装置
つまり総合しますと、第三の眼に違いありません。
特に意識感応装置は、艦長の意識にとどまらず、宇宙の空間を感知します。
空間を物と同じように認識できるのです。宇宙の声も、この装置のおかげで聴けるのです。
^ね^^ね^すごいでしょ^う^
のしてんてん様、おはようございます!
万物はすべて天体天の才
人智を絶する宇宙特製! 真鹿子(まかこ)
と、私は常に信じておりますが、
かのこそうはまさしく天体であり、
宇宙ゆりかごであり、妖精です ^ね^
今回は、どこかブラックホールめいていましたけれど ^ ^ ;;
わたくしも、人間の本質は想像力だと思っています。
宇宙の原動力は想像力!
宇宙神は、宇宙生命体の豊かで斬新、
革新的な想像力を待ち望んでおられます。
のしてんてん様、これからも、
詩、童話、絵画よろしくお願いいたします☆
☆第三の目☆すごいですね~~♪
私も、ゴロニャ~ンスケール号の意識感応装置のような力、
なんとか開発したいです!でも、お風呂でのぼせて、
お風呂上がりぼんやり眠ってしまうような
やわなことではだめですね。反省しきり ^ ^ ;;
力んでは目は閉じてしまいます。
だから。
お風呂が一番いいのです^よ^
ゆったりと、くつろいだ波動が
第三の目を開かせます。
のぼせないように^ネ^