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スケール号は、一列に並んだ遺伝子のかたまりのすきまをぬってその中に飛び込んで行った。スケール号はまだまだ小さくなり続けている。
スケール号はいつしか宇宙と同じ真空の闇の中にいた。
そこはまるで夢を見ているような光景だった。スケール号の前には一面に夜光虫が漂うようにゆれている海が広がっている。所々からきらきらと強い光がきらめいているのだ。
「すげー」
「光る海だス。」
「夢じゃないヤすか。」
「いよいよやって来たぞ。」博士がつぶやいた。
「あの光る海は何ですか。」ぴょんたがたずねた。
「あれがエネルギーの海だ。あそこは太陽よりも強いエネルギーのたまった場所なんだ。」
「きれいで不気味で不思議な眺めでヤす。」
「みんなに言っておくが、ここでは決してスケール号の外に出てはいけない。」博士はぐうすかの方を見ながら言った。
「どうしてだスか。」
「生身であのエネルギーの中に入ると、一瞬で溶かされてしまうだろう。二度と帰って来れない。」
「おそろしいだス。」
「とにかく注意することだ。」
スケール号はエネルギーの海の上空を飛び続けた。その時、海面の光が増して、それが炎のように上空に吹き上がり、突然スケール号を襲って来た。
スケール号の艦内の至る所からバチバチと火花が走った。
「いかん、離れるのだ。」博士が叫んだ。
「スケール号、上昇だ。」
「ゴロゴロニャーン」スケール号が高い空に逃れた。
「危ないところだった。もう少しで捕まるところだった。」博士の顔色が変わっている。
「スケール号にエネルギーのシールドを張りましょう。」艦長がそう言ってスケール号に命令した。
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