それから三月もしないうちに私達は法的にも離婚した。
妻はMのもとに帰った。
私はそう思うことで心の痛手から身を守ろうとしたのかもしれない。
妻の本当の幸せを願う。それが私の愛の形だと思い続けてきたのだ。
何度か再婚の話もあったが、私の心は動かなかった。いつの間にか10年という歳月が流れていた。妻と過ごした年月の何倍もの月日を無為の中で過ごしてきたともいえるだろう。
この重石がかすかにでも動いたのはA子の笑顔とおせっかいだと思った。
つい先日のことだ。
職場で手作りの弁当と一緒に一泊旅行のチケットを渡されたのだ。子供が喜ぶからと無邪気に拝むような仕草をして笑った。
あいまいに断ったつもりだったが結局チケットは私の手の中に残されたままになったのだ。
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