「みなさんの良いエネルギーをスケール号に送るのです。それを集めてスケール号のビーム砲で悪魔を打ち砕くのです。」
「分かりました。」
スケール号の外では、巨大な黒ネズミがスケール号のシールドに弾き飛ばされて歯ぎしりをしていた。
「おのれスケール号め、なめたまねをするチュウのか。そんなことでこのチュウスケ様を倒せると思っているのでチュか。わたチュの力を思い知るがよいチュウ」
チュウ . . . 本文を読む
「これを見なさい。」
ムカエルは自分の右腕をつかみ、それを自分でもぎ取った。腕から白い液体が吹き出した。みんなは争いを忘れてムカエルを見た。
「さあ、この私の右腕をシールドのエネルギーに充てんするのです。これで悪魔のエネルギーの侵入が防げるでしょう。」
「ちくしょう、分かったよ、やればいいんだろ、やれば。」艦長は怒りがおさまらないまま、荒っぽくムカエルの腕を取り上げた。しかしムカエルの . . . 本文を読む
「スケール号のシールドが破られます。」ぴょんたが叫んだ。
「シールドのエネルギーを一杯に上げろ。」
「もうこれ以上無理でヤす!」もこりんが悲鳴を上げた。
バリバリバリと大きな音がしたかと思うと、艦内の至るところから爆発音と火花が発生した。もうもうと煙が立ち込めた。
「艦長、シールドが破られたでヤす。」もこりんがよろよろと立ち上がった。
「ばかやろう、何をしているんだ、エネル . . . 本文を読む
「ピピ、頑張るんだ。」ぴょんたが叫んだ。
「スケール号であの黒い海の上空まで飛んで行き、急降下してピピをくわえて助け出そう。これが一番いい方法だろう。」
博士がスクリーンに映し出された黒い海の地図をみんなに示しながら作戦を提案した。
「悪魔のエネルギーはどんなものですか。」艦長が身を堅くしてムカエルに聞いた。」
「悪魔の攻撃エネルギーは想像出来ない程強く大きいものです。私達天使のエ . . . 本文を読む
七、黒いエネルギーの海
スケール号が宇宙のような真空の空を飛んでいる。目の下に広がる緑色のエネルギーの海には、一本の川が流れている。ピンクの流れが上流でせき止められて紫色に変色している。その紫がどんどん上流に迫って来ていた。今にも闇の中に消え入りそうなピピの心の川だ。
天使ムカエルの導きで、スケール号は、その川からさらに奥 . . . 本文を読む
「悪魔はついにピピを連れ去ってしまいました。もう時間がありません。このままではピピは本当の悪魔に変えられてしまいます。」
「どうすればいいのです。」ぴょんたが聞いた。
「ピピの心に正しいエネルギーを注ぎ込むしかありません。ピピの本心は正しいエネルギーの流れに向かいたいのです。その願いをさえぎっているわだかまりを取り除いてやりさえすれば、自然にピピは正しい道に戻るんです。悪魔の心に変えられて . . . 本文を読む
後には静かな緑の海がキラキラと光りながら横たわっているだけだった。その海面に小さくなった白いかたまりがゆらゆらと漂っていた。
「あの白いエネルギーを救出するのだ。」艦長がスケール号に命令した。
「ゴロニャーン」スケール号は海面に近づき、パクリと白いかたまりを口にくわえた。
するとスクリーンに白い羽根をつけたカエルの姿が映し出された。すると白いカエルはそのままスクリーンを通り抜けてス . . . 本文を読む
六、天使のムカエル
きれいなピンクの流れから、どす黒い紫色に淀んで変色した場所で、スケール号はピピの思わぬ過去を見てしまった。
ピピは子供のころの遊園地の思い出の中に閉じ込められているようだった。とても乗りたかったメリーゴーランドに乗せてもらえなかった事が、ピピの心に思わぬ障害となって残っているようだった。
その時、空の方から流れ星のような白い光がスーッと走って、紫の淀んだ流れ . . . 本文を読む
スケール号はピンクの流れを下って行く。すると突然、流れがどす黒い紫色に変わった。
「気持ちの悪い色だスな。」
「ここでピピに何かが起こったのでしょうか。」
スケール号がペロッと紫の流れをなめた。するとスクリーンに薄暗い映像が浮かび上がった。動かなくなったお父さんと、泣いているお母さんの姿、そしてピピのさみしそうに立ち尽くす姿がスライドのように映し出された。
「お父さんが死んだんだ。 . . . 本文を読む
スケール号の周りに青いエネルギーの壁が出来た。これで外のエネルギーから身を守ることが出来るはずだ。 「艦長、左下に川のような流れが見えます。」ぴょんたが報告した。
川は緑色に光るエネルギーの海の中を渦巻くように流れていた。それはまるで、かきまぜたコーヒーにミルクを入れた時のような形をしている。
「おいしそうだス。」ぐうすかがよだれをぬぐった。
「あれは心の川だ。」
「海 . . . 本文を読む