花の誇り～榎屋敷宵の春月～

　年末から年始にかけて興味深い時代劇のドラマがいくつか放送される。中でも注目しているのはＮＨＫ総合で１２月２０日に放送される「花の誇り」だ。これは藤沢周平の「榎屋敷宵の春月」を原作としている。これは読んだことがなかったので、さっそく読んでみた。藤沢周平の時代小説では珍しく女性が主役の一篇。寺井田鶴という一人の武家の妻の凛とした生き様を描いているが、ＴＶドラマの方はかなり脚色されているようだ。しかし、田鶴を演じる瀬戸朝香や、幼なじみながら複雑な関係になる宗方三弥役の酒井美紀、田鶴の夫、織之助役の田辺誠一など小説のイメージどおりのキャスティングには感心した。藤沢周平の世界を、ＴＶ時代劇シリーズ「慶次郎縁側日記」などを手掛けた宮村優子がどうシナリオ化しているかが楽しみだ。