徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

山中節と「虚空遍歴」

2024-11-29 20:05:46 | 音楽芸能
 今日、RKK熊本放送で放送された「水戸黄門 第23部 第12話」の舞台は温泉で知られた山中(現石川県加賀市)。劇中、村娘によって地元の民謡「山中節」が唄われる。
 去り行く黄門主従を送る「山中節」の唄声を聴きながら、だいぶ前に読んだ山本周五郎の代表作ともいわれる「虚空遍歴」を思い出した。
 この物語は、武士の身分を捨て端唄で人気を得た中藤冲也が、浄瑠璃作家として成功しようと苦闘し、ついには客死する半生を描いた作品。沖也のあてどもない浄瑠璃行脚の旅の中に山中温泉の場面がある。
 三味線音楽の大御所・本條秀太郎さんは50年ほど前に「山中節」をモチーフとして俚奏楽「雪の山中」を創作された。さらに本條秀太郎さんは、自らが創った「雪の山中」と、山本周五郎の「虚空遍歴」の世界観に共通するものを感じとり、「虚空遍歴」に登場する冲也を献身的に支える芸妓おけいを主役とした舞台劇「松廼家おけい」も創作された。
 実は山本周五郎が創作した中藤冲也という人物のモチーフとなっているのがアメリカの作曲家でおなじみスティーブン・フォスターだという。あの「おおスザンナ」「オールド・ブラック・ジョー」などのフォスターである。
 なお、今年8月他界された松岡正剛さんが「松岡正剛の千夜千冊」の中に「山本周五郎 虚空遍歴」を残しておられるので興味のある方はぜひ。

   山中節


   俚奏楽「雪の山中」