都内にある整体協会(俗に野口整体)の某支部で、竹細工の稽古会講師を務めた。
私はヒスイ加工職人である以前から、整体協会の教授資格者なのである。
刃物初心者ばかりなのに、6時間物も集注を切らさず凛然とした空気感を維持できたのは流石に整体協会会員。
水戸黄門と同じ着物に野袴を履く姿は、我々の稽古着。
斜めに「傾たぶいた」女の型は、前近代まで当たり前だった女性の嗜みで、東南アジアでも女性が鉈を使って薪割りをする時の姿勢でもあった。
対して男の型は、武術で「居合膝・居合座り」とも呼ばれる、やや右足を前に出して膝頭を立てた胡坐。
男女ともこの違いを各自検証してもらい、危険な刃物を慎重に扱い、モノを削るという感覚経験を通して身体を育てる事が主眼であり、一般的なモノ作り体験会とは次元を異にする。
昨今はインバウンド活動で外国人に日本文化を紹介するというけれど、民族衣装たる着物を自分で着ることができない、なおかつ着崩れない動きもできない人が日本文化を語れるのか?と疑問に思うし、そもそも和服着付体験やお茶の体験、参禅体験などが文化体験とする風潮のお気軽振りは如何なものか?と疑問がある。
愉しかった、瞑想しているようだったという感想が寄せられ何よりだが、想いや場を共有できる仲間と集えるのは人生の幸せに違いなく、我が人生も半分が過ぎ、多忙であることもあって、今後はお気軽お手軽な体験会講師依頼はお断りすることにした。