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国家の思想弾圧に、仕事で抵抗した男・・・「トランボ ハリウッドに最も嫌らわれた男」

2023年12月21日 08時28分07秒 | 記録しておきたいヒト・モノ・本・映画
BSで視聴した「トランボ ハリウッドに最も嫌らわれた男」は、国家の思想弾圧史に興味のある人におススメの映画。ただし明るいタッチのホームドラマでもある。
アメリカで50年代に吹き荒れた反共運動の「赤狩り」では、ハリウッドの映画産業も積極的に協力した。「赤狩り」の急先鋒だった映画人が、後に大統領になるドナルド・レーガンやジョン・ウエイン、ウオルト・デイズニーなどのタカ派の反共主義者だ。
 
共産主義プロパガンダの映画人と吊るし上げられた10人の「ハリウッド・テン」の筆頭格が、本作の主人公で脚本家のダルトン・トランボ。
 
当時はチャップリンでさえ共産主義者として干されたくらいだから、人道的立場から共産党員になっていたトランボもブラックリスト入りしてハリウッドを追放されたし、1年間の服役もしている。
 
その苦節の期間に、友人名義の脚本で映画化された「ローマの休日」、偽名で発表した「黒い牡牛」が、あいついでアカデミー賞の原案賞を受賞した。
 
共産主義者のトランボが書いた「ローマの休日」のどこにも共産主義の匂いを感じとることはできないが、「自由の国」を標榜するアメリカにもそんな時代があったのだ。
 
その後、俳優のカーク・ダグラスが男気を発揮して超大作「スパルタカス」の脚本を依頼し、実名クレジットしたことが賛否両論をおこした。
しかし大統領に民主党のケネデイが就任し、「スパルタカス」を絶賛したことから潮目がかわった。
 
ブラックリストは有名無実化し、トランボはハリウッドに復帰できたし、死後とはなったがベトナム戦争を経て平和活動が盛んになった70年代に「ローマの休日」の脚本家としてアカデミー賞が贈られた。
 
この10年間に及んだ無名の作家期間こそが、言論・表現・思想の自由を弾圧した、国家権力へのトランボの抵抗活動だった。国家相手の裁判では勝てる訳がなく、偽名をつかい安い脚本を量産して糊口をしのいでいた。本作ではこの過程が、明るいタッチのホームドラマとして丁寧に描かれている。
 
ちなみにハリウッド追放を恐れずに「アカ狩り」に反対を表明して「ハリウッドテン」を擁護したリベラル派の有名俳優もいて、グレゴリー・ペック、ハンフリー・ボガード、ヘンリー・フォンダ、バート・ランカスターなどたち。私の好きな俳優たちばかりだから嬉しくなる。いづれも品行方正さや不正に屈しない勇気、男気を描いた映画の主役だった俳優たち。
 
本作にちょっとだけその時のニュース映像がでてくるし、グレゴリーペック演説も聴ける。
 
 
 


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