釧路川を見下ろす丘に建てられた松浦武四郎の銅像。
ひざまずき指を差す右の男性が当地を案内した酋長メンカクシだそうだが、主従関係を示唆する二人のポーズが面白くない。
バックパッカーの私の経験からすると、例えお金で雇ったガイドであってもガイドは現地情報を熟知した先達だから、主従関係はあり得ない。
僅かな食事を平等に分け合い、藪蚊で眠れない夜をアイヌ達と一枚の蚊帳に顔だけ入れ、共にヒグマの気配に怯えて野宿したのが武四郎の旅だった。
だからこそ武四郎は、アイヌ達からよいシサム(和人)と評価されたのだ。
NHKドラマ「永遠のニシパ」では、なぜか二本差しの若侍姿の武四郎が、年長者に対して「その方は・・・」と武家言葉で偉そうに喋っていた。
見通しのいい明るい山道で突然ヒグマが襲ってきたり、タシロ(アイヌの山刀)一本で立ち向かったりとあり得ない場面も気になった。
最もあり得ない場面は、江戸市中で松前藩の刺客が白昼堂々と武四郎を襲う荒唐無稽な場面。
しかも幕吏に捕縛された刺客が松前藩の仕業と判明したのだから江戸家老は切腹、お家断絶の危機になるのでは?
原作者は「武家諸法度」を知らんのかね?
リアリティが無さすぎるし、可愛かったけど深田恭子演じるアイヌ女性とのラブロマンスも不要でしょうよ。
十代から放浪の旅に出た武四郎、人の情けに通じた苦労人であったと思う。
だからアイヌに対する横暴に対しては怒りを露わにしても、普段は言葉使いも人当たりも柔らかかったはず。
民俗学者の宮本常一の踏査旅行もそうだったろう。
現地の人と同じ目線と共感が無ければ、旅先で友達もできないし助けては貰えないもんですよ。
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