不朽の名作と評価のたかい映画「アラビアのロレンス」は、壮大なテーマ曲と美しい映像でアカデミー賞を受賞したが、ロレンスの冒険的行為と相反する中二病的な繊細さにだけに焦点が当てられ、彼の葛藤の理由が描き切れていない点が気に入らなかった。
が、NHKのドキュメンタリー番組「映像の世紀 バタフライエフェクト」の「砂漠の英雄と100年の悲劇」が溜飲をさげてくれた。
詳細はこちらのURLをチェック! https://www.nhk.jp/p/ts/9N81M92LXV/episode/te/6QMKZ59MM2/
オスマントルコの石油と食料が欲しかった大英帝国は、アラビア人に軍事支援をして内乱を起こさせ、オスマントルコ崩壊後のアラビア人国家の独立を保障した。その任務を与えられたのが、情報将校のロレンス。
同時に第一次世界大戦の戦費をユダヤ系資本家から借りるために、パレスチナにユダヤ人国家建国の保証。
さらにフランス・ロシアとはオスマントルコの領土を分割統治する密約。
この大英帝国の「三枚舌外交」が、今日まで続くパレスチナ問題の発端になっている。
ロレンスの葛藤は、大英帝国の国益の手先となり、アラビア人に嘘をついて戦場に駆り立て、それが中東の分断になったという自責の念。
大英帝国のプロパガンダによりつくられた「砂漠の英雄ロレンス」は、戦後もそのことに苦しみ続け、退役して名前をかえて余生を送った。
ナチスドイツの侵攻を防いだ「救国の英雄」チャーチルも、アラビア人やインド人、アフリカ人からしたら、植民地から搾取した帝国主義国家の政治家でしかない。
こういった丁寧な番組つくりはNHKにしかできないし、私がテレビを観るのはこんな番組だけだ。
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