今日のカメラは、旧西ドイツ製のレンジファインダーカメラBRAUN PAXETTE II Mです。1950年代のレンズ交換可能なレンズシャッターカメラです。ドイツのニュールンベルグのBRAUN社(Carl Braun Camerawerk)が発売したカメラです。あのシェーバーのBraunとは別の会社です。
フォーマット :135判 24×36mm
マウント :パクセッテマウント(39mm径のスクリューマウント※)
シャッター :レンズシャッター PRONTOR-SVS
シャッタースピード:B, 1-1/300秒
ファインダー :50mmフレーム、二重像合致式(独立距離計用)
フォーカシング:手動、独立距離計で測距可能
露出計 :なし
フィルム送り :レバー2回巻き上げ、ノブ巻戻し
重量 :436g(実測値)
発売年 :1953年頃
※パクセッテマウントのフランジバックは44.0mm。ライカL39マウントとネジ口径は同じですが、ライカとはフランジバックが異なるため、互換性はありません。
BRAUN PAXETTEシリーズは、1950年から1960年代前半頃までのレンズシャッター式の35mm判レンジファインダーカメラです。様々なタイプのカメラがありました。
ざっくり分類すると、3タイプになります。
I型:レンズ固定式 (例:Paxette)
II型:M39スクリューマウント(通称パクセッテマウント)レンズ交換式
III型:バヨネットマウントレンズ交換式
さらにII型には、
a)距離計非連動式 ・・例:今回紹介のBRAUN PAXETTE II M
b)距離計連動式 ・・例:Super II、Super PAXETTE IIBL
PAXETTE II Mには、アクセサリーシューの右側にノブ(赤で囲んだ部分)がついています。これが独立距離計を動かす部分です。このノブを回転させるとファインダー内の二重像が動きます。合致したところでノブの上に表示された距離を読み取り、それをレンズの距離環で表示させることで、ピント合わせを行います。
PAXETTE II M(左)とSuper II(右)を並べてみました。正面にBRAUNと書かれているのがSuper IIです。大きさはほぼ同じで、前面のデザインもロゴ以外はほとんど同じに見えます。
軍艦部を上から見てもほぼ同じデザインです。異なるのは距離計の小さなノブだけのようにみえます。
底面の大きなノブリングを回すと、裏蓋ごと外れます。
バルナックライカなどと比べればフィルム交換は楽です。フィルムを入れて蓋を閉めるとしっかり嵌めこめます。この時代の旧西ドイツ製品は、遊びが少ないのにかかわらず、精度よく嵌めこめるのが良いですね。改めてカメラは精密機器だということを認識できます。ドイツ製品の良いところですね。
パクセッテマウントのレンズは、Zeiss、Schneider、Steinheil、Roeschlein、Enna、 Staebleなど、様々なメーカーから供給されていました。さらにその中に、距離計連動するものと、距離計には連動しないものが存在しました。ちなみにBURAUNパクセットのレンズとしては、M39スクリューマウントのものがポピュラーです。中古レンズの市場でもバヨネットマウントはあまり見かける機会がないレンズなようです。
このように、カメラのタイプ、それに応じたレンズのタイプ、さらにマウント違いまで、かなり複雑なシステムになっています。この辺りは趣味的には、なかなか興味深いシステムです。
約70年前のカメラですが、頑丈な旧西ドイツ製ですので、今でも可動なものも多く残っているようです。私の個体もシャッター全速動いています。頑丈な精密カメラというところでしょうか。