どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

なんでもはかれる!単位の本

2019年12月04日 | 絵本(日本)

    なんでもはかれる!単位の本/石黒ヒロユキ・編著/岩崎書店/2019年

 

 長さ、体積、容積、重さ。さらに時間、速さ、気圧、温度、電波、カロリーなどなど。まさに単位について網羅されています。

 エピソードもまじえて紹介されていますから、単位への理解が深まりそうです。

 糖度をあらわす「ブリックス値」、辛さをはかる「スコヴィル値」を知っていると、子どもに自慢できそうですよ!

 必要な時に開いてみることができるのが図鑑のよさです。

 大人から見ても興味深いものもありました。

 長さに「キュービット」「ヨージャナ」「スタディオン」というのがありました。

 「ユカワ」は、日本人初のノーベル賞受賞者湯川秀樹の名に由来したもので、十のマイナス十五乗という長さの単位。

 匁(momme)は、主に真珠の取引に使われ、日本古来の単位のなかで唯一国際的に使われる重さの単位。

 「エサキ」は、ノーベル賞受賞者江崎玲於奈にちなんだ単位というのですが、100エサキ=1バーデイーンが、なんと「研究者が学会発表で、何を言ってるのかさっぱり理解できない度」というのは、学者のユーモアでしょうか。


小さな赤いひょうたん・・中国

2019年12月03日 | 昔話(アジア)

       銀のかんざし/世界むかし話 中国/エド・ヤング・絵 なたぎりすすむ・訳/ほるぷ出版/1979年

 

 兄がチャンパオ、弟がチャンションという兄弟。財産わけのとき兄がほとんどひとりじめし、弟は年とった馬を二頭。

 弟は二頭の馬で薪を売り歩いていましたが、その馬もなくなって、暮らしはいよいよ苦しくなりました。

 弟はおかみさんにわからないよう家をでて、あちこちでわずかばかりの仕事をして暮らしていましたが、ある日、宿がみつからず山の上のお堂にとまることにしました。

 ひとまず、扉に寄りかかっていると、なかからシューッ、シューッと音がしたので、扉からなかをのぞくと、からだが金色に光る”大ウワバミ”が、七つの夜光の玉をはき出してお堂の中を明るくてらしていました。それに赤いズボンに緑の上着といういでたちの親指くらいの小さなこびと七人が、さかんに歌をうたっていました。

 ここでは数知れないほどの人数が食いおばけにくわれてなくなっていました。おじいさんから五駄の銀貨とひきかえに、人食いおばけをかたずけてくれるよう頼まれたチャンションは、よくがなく一駄で人食いおばけをたいじすることに。

 首尾よく大ウワバミを退治したチャンションは、ウワバミのお腹にあった金貨と七人のこびと、七つの夜光の玉を手に入れます。

 家にかえる途中、龍の淵のほらあなで、夜光の玉で真っ暗なほらあなを照らし、こびとたちの歌をきいていると、たえなる歌声を聞きつけた龍王の三番目の王女が、龍王の誕生日を祝うため龍宮で三日間歌をうたってくれるようにたのみます。

 龍宮にむかうやりとり。

 王女から「金の門と、銀の門、どちらをとおりますか?」ときかれ チャンションは「木の門がいい」とこたえます。

 「金のこしかけと、銀のこしかけ、どちらにすわりますか?」ときかれると「木のこしかけがいいんです」。

 「金の茶わんと、銀の茶わん、どちらでたべますか?」ときかれると「せとものの茶わんがいいんです」。 

 「金のはしと、銀のはし、どちらでたべますか?」ときかれると「竹のはし」と、チャンションはこたえます。

 よくのないチャンションが手に入れたのは小さな赤いひょうたんでした。このひょうたん、「ほしいものをなんでもだしてくれる」という優れもの。

 チャンションが家にかえったのは、でていってから三年後。

 家を出た時のままのぼろぼろの服で、銀貨一枚もたずにかえったチャンションに、おかみさんは悪態をいますが、チャンションは赤いひょうたんに、二食分のごちそうをだすようにいいます。

 チャンションが兄や姉をよんで父親の誕生祝いをしようとすると、おかみさんは事情がのみこめず文句をいいますが、赤いひょうたんで、立派な屋敷をだして、ごちそうで、みんなをもてなします。

 兄が弟がどんな風に金を作ったのかたずねると、弟は素直?に、これまでのことを話します。おまけにひょうたんを二日間借り出した兄。

 はじめにラバ、そして次には宝船をだして、みずうみをのんびりまわることにした兄でしたが、宝船に乗り込んだとたん、宝船はひっくりかえって、兄もろとも、湖の底へ沈んでしまいます。というのも赤いひょうたんは、もともと湖にあった宝物で、湖にきたので、龍宮に帰ってしまったのでした。

 一方、チャンションは、七人のこびと七つの夜光のたまで、どこでもかせげましたから、あいかわらず幸せに暮らしました。

 

 五駄の銀貨とひきかえに大ウワバミの退治をするよういわれたチャンションは、一駄でいいとこたえますが、五駄の銀貨といえば、馬五頭に積まれた銀貨ですから、ずいぶん欲がありません。

 龍宮に案内するのが三番目の王女ですが、三番目というからには上には二人の王女がいるはずですが、上の二人は登場しません。

 赤いひょうたんが、湖にもどるというのも ほかの昔話にみられない結末でしょうか。こういうのがあると争いのもとになりますから、結末も納得でした。


星のひとみ

2019年12月02日 | 絵本(外国)

   星のひとみ/サカリアス・トペリウス・原作 石井睦美・文 せなけいこ・絵/KADOKAWA/2018年



 クリスマスの前の晩、サーミ人の夫婦のそりがオオカミにおそわれ、雪の上におちたあかちゃん。オオカミは ただあかんぼうをながめるだけ。オオカミがいってしまうと、あかんぼうは冷たい雪に埋もれてころがったまま。

 あかんぼうは、星をみつめました。星も あかんぼうをみつめました。たくさんの星たちは、この子のところに いってあげたいとおもいました。そうして、あかんぼうの ひとみの中に、星のひかりが はいったのです。

 あかんぼうのからだは、雪に埋もれてどんどんつめたくなっていきました。しかし、あかんぼうは遠い町からかえる途中のフィンランド人の農夫にたすけられます。

 あかんぼうは、牧師さんから「星のひとみ」という名前をつけられます。

 星のひとみは、不思議な力をもっていました。星のひとみに見つめられるといじめっ子はいじめるのをやめ、イヌはほえるのをやめ、吹雪がふきあれても、星のひとみが吹雪のなかにでていくと、吹雪はやんで、すっかりしずかになりました。

 おかみさんが、むかしのことを思い出していると、星のひとみがその思い出をかたり、指輪がなくなったときはすぐに指輪のありかをしめしました。

 おかみさんは、こういうことがいやでたまりませんでした。かみさんは となりにすむムッラからいわれて、星のひとみの目をふさぎ閉じ込めてしまいます。

 それだけでなく、星のひとみは、ムッラからクリスマスの前の晩に再び雪の中に置き去りにされてしまいます。

 

 すぐに農夫が気づいて、おきざりにしたところへ行った時には、そこにちいさなくぼみがあるだけでした。

 魔法使いとおもわれた星のひとみ。ただそれだけで存在までも否定された悲しい結末ですが、作者は「たくさんの星が、おおぜいの天使が、そしてかみさまが、星のひとみを みまもっていました」と、このあとを暗示しています。

 作者はフィンランドのアンデルセンと言われるトペリウス。クリスマス前後に読みたい絵本。


ピッコロおはなし会・・2014~2019 2023~

2019年12月01日 | お話し会

 ピッコロおはなし会は、「大人」と銘打っていないので、小学生も姿も見られます。

2024.12.1

 1 歳女(むかし 君川みち子再話集)
 2 にげだした貧乏神(瓜子姫とあまんじゃく 日本の昔話3 講談社)
 3 ねずみのすもう(おはなしのろうそく18 東京子ども図書館)
 4 小さなこげた顔(アメリカのむかし話 偕成社文庫)
 5 ジムのたんじょう日(ファージョン作 町かどのジム  童話館出版)
 6 だんまりくらべ(子どもに語るトルコの昔話 こぐま社)
 7 ノロウェイの黒ウシ(イギリスとアイルランドの昔話 福音館書店)

 午前中のお話し会でしたが、あまりさむくもなく ちょうどいい日でした。

 お話し会は、途中で手遊びがはいるのは、各グループ共通ですが、プログラムや会の入り方がグループそれぞれ個性的です。ピッコロさんは、ねずみの人形が 歌でおむかえします。

2023.11.30

 寒かったり、暖かだったりと 日々変動していますが、今日の天候は まあまあ。コロナで、四年ぶりとありました。

 1 ふしぎなたいこ(同名絵本/文・石井桃子/絵・清水崑/岩波書店)
 2 みっつのねがいごと(同名絵本 マ-ゴット・ツェマック  小風さち・訳/ 岩波書店)
 3 おんちょろちょろ(さてさて、きょうのおはなしは・・ 瀬田貞二・再話 野見山響子・画/福音館書店)
 4 物語がはじまるとき(お母さま ラビンドラナート・タゴール 内山眞理子・編訳/東知谷)
 5 まよいが(迷い家)(同名絵本 えほん遠野物語 /汐文社)
 6 おどっておどってぼろぼろになったくつ(おはなしのろうそく13/ 東京子ども図書館)
 7 サルのきも(子どもに聞かせる世界の民話/実業之日本社)
 8 魔法使いのチョコレートケーキ(マーガレット・マーヒー・作/福音館書店)

 「ふしぎなたいこ」は、別バージョンのテキストで聞くこともあります。

 「おんちょろちょ」はネズミ経のお話、「おどっておどってぼろぼろになったくつ」はグリムで「おどる12人のおひめさま」というタイトルもあります。「おんちょろちょ」、「ぼろぼろのくつ」というタイトルが、お話しの雰囲気をよく表しています。

2019.11.30

 このところ、朝は霜が一面をおおっています。アスファルトの道路や硬い土地の公園では気がつきませんが、畑には霜柱が立っていて寒さが身にしみます。午後は比較的おだやかでした。

 1 空を飛んだ亀(かたれやまんば/藤田ひろ子の語り第3集)
 2 ホレおばさん(グリム/おはなしのろうそく15)
 3 水晶の小箱(イタリア 子どもに語るイタリアの昔話/こぐま社)
 4 金の髪(おはなしのろうそく19/東京子ども図書館)
 5 わらべうた
 6 徂徠どうふ(同名絵本/福音館書店)
 7 チム・ラビットとはさみ(チム・ラビットのぼうけん/童心社)
 8 大歳の火(日本昔話百選/三省堂)

 「空を飛んだ亀」藤田さんの方言そのものではないとおもいますが、やはり日本の昔話には方言がかかせません。

 

2018.12.8

 夏日のところがあったりですが、来週は寒くなりそうです。15回目のおはなし会でした。

 1 風の神と子ども(おはなしのろうそく9/東京子ども図書館)
 2 まぬけなトッケビ(おはなしのろうそく30/東京子ども図書館)
 3 いばらひめ(子どもに語るグリムの昔話6/こぐま社)
 4 びんぼうこびと(おはなしのろうそく26/東京子ども図書館)
 5 星のひとみ(雪の絵本/三笠書房)
 6 犬と猫とうろこ玉(おはなしのろうそく15/東京子ども図書館)
 7 山の上の火(山の上の火/岩波書店)

 「星のひとみ」は創作ですが、雪の原っぱに取り残されたあかちゃんが、三つの時、もとのところ捨てられてしまうジンとくる物語。不思議な力を持つひとみに育て親が脅威を感じるのですが・・・。
 こうしたおはなし会にでてみると、なにかしら新しい発見があります。

2017.10.28

 1 やまなしもぎ(同名絵本 福音館書店)
 2 三人の糸つむぎ女(子どもに語るグリムの昔話3 こぐま社)
 3 さんねん峠(同名絵本 岩崎書店)
 4 アディ・ニファスの英雄(山の上の火 岩波書店)
 5 ねむりひめ(同名絵本 福音館書店)
 6 世界のはての井戸(子どもに語るアイルランドの昔話 こぐま社)

 「さんねん峠」は朝鮮、「アディ・ニファスの英雄」はエチオピアの昔話です。日本の昔話、ユーモアのある話、じっくりきかせる話とバラエテイにとんだプログラムでした。

2016.10.22

 1 でいだんぼうのおとおりだい!(小川町の民話 はすの実ころり)
 2 四つ山の三つご石(小川町の民話と伝説 小川町総務課編集)
 3 まめになったよめさん(小川町の民話と伝説 小川町総務課編集)
 4 吉四六話(光村図書)
 5 さきざきさん(かもとりごんべえ 岩波少年文庫)
 6 さるのひとりごと(ぼくとわたしのみんわ絵本 童心社)
 7 黄太郎 青太郎(子どもに語るアジアの昔話1 こぐま社)
 8 ねずみのしゃもじ(女むかし ほおずきの会)
 9 犬になった王子(同名絵本 岩波書店)

 小川町の民話は、地名がわかりにくかったかも。

2015.11.28
 今朝起きてみると初霜でびっくりしましたが、穏やかな午後です。

  1 吉四六話(光村図書)
  2 火の鳥と王女ワシリーサ(子どもに語るロシアの昔話 こぐま社)
  3 先に怒った者が負け(子どもに語るイタリアの昔話 こぐま社)
  4 山の上の火(岩波書店)
  5 月を射る(おはなしのろうそく27 東京子ども図書館)
  6 牛方とやまんば(おはなしのろうそく3 東京子ども図書館)
  7 赤鬼エティン(おはなしのろうそく15 東京子ども図書館)

2014.11.15

  1 十二のつきのおくりもの(スロバキア おはなしのろうそく2 東京子ども図書館)
  2 文福茶がま(日本童話宝玉選 小学館)
  3 魔法の指輪(レアンダー作 ふしぎなオルガン 岩波書店)
  4 つるにょうぼう(同名絵本 矢川澄子・再話 福音館書店)
  5 熊の皮を着た男(子どもに語るグリムの昔話1 こぐま社)
  6 ちっちゃなゴキブリのべっぴんさん(イラン アジアの昔話5 福音館書店)

  十五分を超える話が四つ。じっくり聞けました。

2012.7.4

 1 孫地蔵(語りつぎたい日本の昔話7 舌切りすずめ 小峰書房)
 2 こすずめのぼうけん(おはなしのろうそく13 東京子ども図書館)
 3 わたの花と妖精(こども世界の民話(下)実業之日本社)
 4 だんまりくらべ(子どもに語るトルコの昔話 こぐま社)
 5 おどっておどってぼろぼろになったくつ(子どもに語るグリムの昔話1 こぐま社)
 6 ぜつぼうの濁点(同名絵本 教育画劇)
 7 味噌買橋(日本昔話百選 三省堂)8 魔法の馬(ロシアの昔話 福音館書店)


そうちゃんはおこってるんだもん

2019年12月01日 | 絵本(日本)

   そうちゃんはおこってるんだもん/筒井頼子/文 渡辺洋二・絵/福音館書店/2014年

 

 そうちゃんが、おこっているのは、お父さんが妹のなっちゃんばかりをかまっていること。

 そうちゃんだって、お父さんのおうまさんにのりたいのです。

 「お父さん ぼくも!」と、ふたりのりをしようとすると、なっちゃんが すってん ころん、ゆかに ごっちんこ。わーんと なきだしました。

 するとお父さんは、いそいで なっちゃんをだきあげ うちゅうせんごっこ。

 ドス-ン! こんどはおとうさんんがころんで 「そうちゃん、そんなに ひっぱったら あぶないだろう」と、お父さん。

 二人いると どうしても ぶがわるいのは 上の子。

 おなじように接しているとおもっていても、お兄ちゃんは 愛情をうばわれているようで たしかにおこりたくなることも。こういうのって言葉ではあらわせない微妙な感じがあります。

 よくある家庭の風景。意地をはりたくなる気持ちもよくわかります。

 最後は、お父さん、お母さんがちゃんとフォローしてくれています。