温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

湯の児温泉 福田共同浴場(旧竹下共同浴場)

2016年06月16日 | 熊本県
湯の児温泉はどちらかと言うと歓楽方向に傾いていた温泉地ですが、近年は客足が減って沈滞ムードに覆われています。そんな温泉街では、いくつかのお宿で立ち寄り入浴ができるほか、数軒の立ち寄り入浴専門施設がありますので、今回はその中から2軒を訪れてみることにしました。まず1軒目は「福田共同浴場」(旧竹下共同浴場)です。

 
水俣の市街からとんとん峠を越え、海を見下ろしながら坂道をどんどん下って温泉街に入るところで、道の右手にボロボロのプレハブ小屋が目に入ってきます。一見すると倉庫や陋屋に思われますが、これはれっきとした共同浴場なんですね。現在は管理者の名前をとって「福田共同浴場」という浴場名になっていますが、つい最近までは「竹下共同浴場」と名乗っており、出入口の右側には旧名称の札が掲げられていました。


 
小屋の右手には高架水槽が立っており、その直下ではポンプの駆動音が響いていました。この浴場で使うお湯を汲み上げ、タンクでストックしているのでしょう。出入口の引き戸には入浴時間と料金(15~19時、200円)が掲示されていました。ネット上の一部サイトによれば、ここはジモ専になって外来者は入れなくなったという情報が見受けられますが、現地に行ってみたところ、特に外来者を謝絶するような注意書きも気配も無く、きちんと湯銭を納めれば問題無く利用できるようでしたので、せっかくですから入らせていただくことにしました。


 
引き戸を開けると、下足場の右側の壁に料金箱(テレビ用タイマーの料金箱を転用したもの)がくくりつけられていますので、ここに100円玉2枚を投入して中へ上らせてもらいます。


 
館内は公民館のような感じで、いくつかの和室が配置されているのですが、ひと気は全く無く、その代わりにいろんな私物が雑然と置かれていました。こんなB級感の強い陋屋共同浴場ですが、熊本県温泉協会からちゃんと浴場として認められているらしく、玄関には協会の認定プレートが掲示されていました。


 
玄関を上がって右に進むと、突き当たりに男女別の浴室入口が並んでいました。男湯の引き戸を開けるとすぐに脱衣室になるのですが、そのスペースがとても狭く、棚があるばかりで、1~2人でいっぱいになっちゃうような空間でした。


 
モルタル塗り浴室は、浴槽や腰部にタイルが、足元には石板が用いられています。数種類の建材を使い分けることによって、小さい室内にささやかな温泉風情をもたらしているのでしょう。でも、壁の白い塗装はところどころ禿げており、床の石板は長年にわたって温泉成分が付着することでアイボリー色にコーティングされ、浴槽は全体的に赤茶色に染まっていていました。そうした目に見える劣化の数々は、この浴場が相当の年月を経てきていることを物語っているようです。
室内には特に洗い場らしきものはありません。一応蛇口が取り付けられているものの、開けても何も出なかったので、お湯は蛇口から直接桶で汲むことになります。浴槽の脇にはデッキブラシが立てかけられていましたが、まさかこれで自分の体をゴシゴシする人はいないでしょう。


 
前面タイル張りの浴槽は0.8m×2mの長方形で、横に並べば3~4人は入れそうなサイズがあります。後述するバルブから無色透明のお湯が吐出されており、縁からふんだんに溢れ出ていました。加水されているような気配はなく、ご覧のような建物ですから加温や循環設備などあるはずもなく、完全掛け流しの湯使いに間違いないかと思います。なお、私が訪問したときの湯船の温度は44.1℃というちょっと熱めの湯加減でした。


  
壁から突き出た配管にはバルブが付いていますので、湯量を適宜調整できます。吐出口における温度は46.0℃であり、それほど大きな浴槽でもありませんから、バルブを全開しちゃうと、ちょっと熱くなりすぎちゃいます。加水できるような水道もありません。そこで私は入浴前にバルブをちょっと締めてから湯浴みさせていただいたのですが、それでもお湯が湯船からザバーッと豪快に溢れ出し、贅沢な湯浴みを楽しむことができました。溢れ出たことにより湯嵩は一時的に減りますが、バルブを開けばすぐにお湯が補充でき、元の位置まで戻りますので問題ありません。
湯口のお湯を口に含むと、甘い塩味と石灰の味が感じられました。硬い水に塩を少々まぶしたような味と表現したら良いでしょうか。湯中では弱ツルスベの中に少々の引っ掛かりが混在する複雑な浴感が得られました。なお匂いは特に確認できません。見た目は透明なお湯ですから大した個性のないお湯かと侮るとエライ目に遭うこと間違いなし。食塩と重曹がメインとはいえ、カルシウムなどもしっかり含む塩化土類泉的なお湯ですから、湯浴みしているとパワフルに火照って長湯できなくなり、お湯から上がってしばらくの間は汗が止まらなくなります。見た目とは裏腹にかなり力強いお湯ですが、その浴感こそ本物の温泉である証。余計なものが無いプリミティブなお風呂で、掛け流しのお湯をしっかりと味わうことができました。


温泉分析書見当たらず

熊本県水俣市浜

15:00~19:00
200円
備品類なし

私の好み:★★★

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2 コメント

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Unknown (さくら)
2024-09-06 09:48:02
今は、市内の人200円、市外の人300円となっています。
6時半までとなっています。
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Unknown (K-I)
2024-09-06 17:25:53
さくらさん、こんにちは。
現在の営業時間並びに料金についてお知らせくださりありがとうございます。
情報の更新が追いついておらず申し訳ございません。
返信する

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