前回記事「岩間噴泉塔群(その1 噴泉塔を見に行く)」の続編です。
噴泉塔群から引き返して登山道へと戻る。実は往路で登山道を河原へ向かって下っている時、河原に出るちょっと手前の右側に、なにやら怪しい踏み跡を発見していたので、そこを探検してみることにした。
踏み跡を入ってゆくと、やがて左手に小さな沢が現れた。沢からは湯気が上がっており、触ってみると入浴したくなるような温度だった。
さらに沢に沿って斜面を上がってゆくと、いかにも入浴してくださいと言わんばかりの湯溜まりを発見したのだ!
明らかに人為的に石を組んで温泉の沢を堰き止めて造った湯溜まりなのだが、こんなものがあるとはつゆ知らず、感激のあまりその場で思わず歓喜の雄叫びを上げてしまった。
すぐに湯溜まりで入浴したい衝動に駆られたが、私の第六感が「さらに上流を目指せ」と指令するので、湯浴みは後回しにし、3点支持しながら岩や滝をよじ登って、温泉の沢を遡っていった。
なんと沢の最上流部には、幅10メートルにわたって熱湯を噴出しているトラバーチンが形成されていた。
中でも目を惹いたのがこの純白な石灰華である。混じりけの無い白さはまさに神秘的だ。トルコのパムッカレはもちろん、ハンガリーのエゲルサロークにも遠く及ばないほど小規模なものだが、純白の度合いだけは十分に肩を並べることができるだろう。こんな美しい自然の造形が人知れず存在しているのだから、日本の自然もまだまだ捨てたもんじゃない。当地に関する各種案内にはもちろん、ネット上でもほとんど紹介されていないこの純白石灰華を偶然にも発見することができたことは、幸運以外の何物でも無いだろう。人生の運の数ヶ月分の運はここで一気に費やしてしまったかもしれない。
(後日ググってみたら、なんとAll Aboutで最近取り上げられていたことが判明した。こちらがその記事)
純白の石灰華塔から湧き出る温泉の温度を計ってみると、70.8℃であった。
沢を下りて再び先ほどの湯溜まりへと戻ってきた。
両白山地の紅葉を一望する絶景の露天風呂だ。こんな素晴らしいロケーションの野湯は、他ではなかなかお目にかかれない。
温泉の沢を堰き止めているこの湯溜まり。湧出部では70℃以上あった温泉も、ここまで流れ落ちてくる間に十分に冷め、42.3℃と絶妙な湯加減になっていた。これを天の恵みと言わずして何と申そうか。
というわけで、我慢できなくなって入浴することにした。
お湯は無色透明でほぼ無味無臭だが、やや石膏系の甘みが感じられ、また微かな収斂も帯びているようだった。一方、意外にも硫黄感はほとんど感じられなかった。底には砂や泥が堆積しているため湯船としてはちょっと浅めであり、また入浴時にはそれらの沈殿物が舞い上がるために、入りしなはお湯が濁ってしまうが、しばらくすれば再び沈殿して元通りの透明なお湯に戻ってくれる。最高の湯加減と素晴らしい眺望にしばし恍惚となった。
この湯溜まりは造られてまだ間もないのか、石組みがまだしっかりと安定しておらず、ちょっとでも沢が増水すればたちまち崩れてしまいそうな脆さが見て取れたが、手頃なサイズの石ならそこらにたくさん転がっているので、もし流されちゃったとしても、この場で再び石を組んで堰き止めれば、再度野湯を楽しむことができるかもしれない。
天然記念物の噴泉塔はもちろんだが、神秘的な美しさで私を魅了した純白の石灰華、そして山の紅葉を一望できる絶景野湯、いずれも非常に素晴らしく、わざわざ遠路はるばる当地までやってきた苦労は十二分に報われた。
ちなみに帰路は谷底の河原から元湯まで僅か30分で到達できてしまった。標準タイムは60分だから、何と半分である。しかも下りの往路(38分)より8分も早かったのだ。下りより登りの方が早いとはどういうことなのか。素晴らしい自然美と野湯のおかげで、九十九折れの勾配も軽々と登ることができたのかもしれない。
※今回の記事の内容に関して、湯溜まりや石灰華の場所の特定は控えさせていただきます。なお国土地理院の地図にもこの沢や温泉に関しては載っていません。
噴泉塔群から引き返して登山道へと戻る。実は往路で登山道を河原へ向かって下っている時、河原に出るちょっと手前の右側に、なにやら怪しい踏み跡を発見していたので、そこを探検してみることにした。
踏み跡を入ってゆくと、やがて左手に小さな沢が現れた。沢からは湯気が上がっており、触ってみると入浴したくなるような温度だった。
さらに沢に沿って斜面を上がってゆくと、いかにも入浴してくださいと言わんばかりの湯溜まりを発見したのだ!
明らかに人為的に石を組んで温泉の沢を堰き止めて造った湯溜まりなのだが、こんなものがあるとはつゆ知らず、感激のあまりその場で思わず歓喜の雄叫びを上げてしまった。
すぐに湯溜まりで入浴したい衝動に駆られたが、私の第六感が「さらに上流を目指せ」と指令するので、湯浴みは後回しにし、3点支持しながら岩や滝をよじ登って、温泉の沢を遡っていった。
なんと沢の最上流部には、幅10メートルにわたって熱湯を噴出しているトラバーチンが形成されていた。
中でも目を惹いたのがこの純白な石灰華である。混じりけの無い白さはまさに神秘的だ。トルコのパムッカレはもちろん、ハンガリーのエゲルサロークにも遠く及ばないほど小規模なものだが、純白の度合いだけは十分に肩を並べることができるだろう。こんな美しい自然の造形が人知れず存在しているのだから、日本の自然もまだまだ捨てたもんじゃない。当地に関する各種案内にはもちろん、ネット上でもほとんど紹介されていないこの純白石灰華を偶然にも発見することができたことは、幸運以外の何物でも無いだろう。人生の運の数ヶ月分の運はここで一気に費やしてしまったかもしれない。
(後日ググってみたら、なんとAll Aboutで最近取り上げられていたことが判明した。こちらがその記事)
純白の石灰華塔から湧き出る温泉の温度を計ってみると、70.8℃であった。
沢を下りて再び先ほどの湯溜まりへと戻ってきた。
両白山地の紅葉を一望する絶景の露天風呂だ。こんな素晴らしいロケーションの野湯は、他ではなかなかお目にかかれない。
温泉の沢を堰き止めているこの湯溜まり。湧出部では70℃以上あった温泉も、ここまで流れ落ちてくる間に十分に冷め、42.3℃と絶妙な湯加減になっていた。これを天の恵みと言わずして何と申そうか。
というわけで、我慢できなくなって入浴することにした。
お湯は無色透明でほぼ無味無臭だが、やや石膏系の甘みが感じられ、また微かな収斂も帯びているようだった。一方、意外にも硫黄感はほとんど感じられなかった。底には砂や泥が堆積しているため湯船としてはちょっと浅めであり、また入浴時にはそれらの沈殿物が舞い上がるために、入りしなはお湯が濁ってしまうが、しばらくすれば再び沈殿して元通りの透明なお湯に戻ってくれる。最高の湯加減と素晴らしい眺望にしばし恍惚となった。
この湯溜まりは造られてまだ間もないのか、石組みがまだしっかりと安定しておらず、ちょっとでも沢が増水すればたちまち崩れてしまいそうな脆さが見て取れたが、手頃なサイズの石ならそこらにたくさん転がっているので、もし流されちゃったとしても、この場で再び石を組んで堰き止めれば、再度野湯を楽しむことができるかもしれない。
天然記念物の噴泉塔はもちろんだが、神秘的な美しさで私を魅了した純白の石灰華、そして山の紅葉を一望できる絶景野湯、いずれも非常に素晴らしく、わざわざ遠路はるばる当地までやってきた苦労は十二分に報われた。
ちなみに帰路は谷底の河原から元湯まで僅か30分で到達できてしまった。標準タイムは60分だから、何と半分である。しかも下りの往路(38分)より8分も早かったのだ。下りより登りの方が早いとはどういうことなのか。素晴らしい自然美と野湯のおかげで、九十九折れの勾配も軽々と登ることができたのかもしれない。
※今回の記事の内容に関して、湯溜まりや石灰華の場所の特定は控えさせていただきます。なお国土地理院の地図にもこの沢や温泉に関しては載っていません。