温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

ニセコ東山温泉 ヒルトンニセコビレッジ

2016年08月15日 | 北海道
 
前々回記事まで続いていた、半年ほど前の冬の北海道シリーズに戻ります。ニセコの山々や羊蹄山を眺めてニセコ地区をドライブするうちに…


 
次なる目的地である「ヒルトンニセコビレッジ」(以下ニセコヒルトン)に到着しました。いまやニセコの名は世界中に轟いておりますが、この日もニセコヒルトンはとてもインターナショナル。明らかに日本語より他国の言語の方が多く飛び交っていました。


 
私がこちらを訪れたのは、別にセレブな気分になりたかった訳ではなく、当然ながら温泉入浴が目的です。日頃から行儀が悪い私のような下賤の民には分不相応の高級リゾートですが、ニセコヒルトンでは1,000円で日帰り入浴を受け付けており、私のような人間でも門前払いされることなく、快く受け入れてくれるのです。料金は、北海道にしては高額かもしれませんが、箱根や伊豆でしたら比較的よく見られる相場ですから、東京からのお客さんなら抵抗なく利用できるかもしれません。いや、それでも高いとお考えの方におすすめしたいのが「ニセコ湯めぐりパス」です。1,440円で加盟温泉施設のうち3ヶ所に入ることができ、このニセコヒルトンでも利用が可能なのです。このため、当地で温泉をハシゴしたい場合は、このパスを購入した方が絶対にお得ですよ。私もこのパスを購入した上でこちらを訪れました。

余談ですが、先日新宿にあるヒルトン東京のラウンジで海外からやってきた知人と待ち合わせをした際、注文したコーヒー1杯の値段はゼロが3つの4桁でした。同じヒルトンでも、北海道では温泉入浴できる金額が、東京ではコーヒー1杯にも満たないのですから、貨幣価値というものは国内でも地域によって全然違うんだなと痛感させられます。



諸外国後が飛び交うロビーは、中央に設けられた巨大な暖炉がとても印象的で、ラグジュアリ感たっぷりです。フロントで「ニセコ湯めぐりパス」を提示すると、スタッフの方は快く対応し、洗練された動きで浴場入場用のカードキー、そして無料貸出のバスタオルとフェイスタオルを1枚ずつ私に手渡してから、お風呂の位置を案内してくださいました。


 
フロントの先に浴場入口がありますので、カードキーを読み取り部分にかざして開錠し、浴場へと入ります。


 
さすがヒルトンだけあって、脱衣室は広くて清潔感にあふれています。
カゴや洗面台の数も他のホテルとは比べ物にならないほど多く、他客との干渉も無縁であり、もちろん使い勝手も抜群です。


 
 
外国人客の利用が多いホテルですから、日本語の他、英語・中国語(繁体字)・韓国語で注意喚起されており、壁に固定されれいるプレートの他、モニターでも図示を用いてわかりやすく説明されていました。


 
 
浴室に入った瞬間、温泉から放たれるアブラ臭が鼻を突いてきました。山形県の寒河江や大江村界隈に湧く温泉に近い匂いなのですが、まさかこんなところでアブラ臭を嗅げるとは予想だにせず、その匂いに興奮して、ついつい鼻をクンクンと鳴らしてしまいました。
内湯は浴槽に面した大きな曲線窓は特徴的であり、そのパノラミックウィンドウからは羊蹄山を一望できます。浴槽は大変広く、槽内投入されているお湯は、やや緑色掛かった暗めの山吹色に弱く濁っており、湯中には黄土色の湯の華が大量に舞っています。そして湯船に湛えられた温泉は、両サイドの排水溝へ絶え間なくオーバーフローしていました。


 
洗い場はひとつひとつのブースがゆとりをもって確保されており、しかも袖板でセパレートされているため、隣との干渉を全く気にせず利用することができます。各ブースには檜の桶と腰掛けが備え付けられており、現代的な建築様式である浴室内に、日本的なテイストを醸し出していました。なおブースの数は計14ヶ所。国際的な施設ゆえに13を避けたのかもしれませんが、ちょっと勘ぐりすぎでしょうか。


 
ドアを開けてステップを下ると露天風呂です。このステップには冬季でも足元が冷えないようお湯が流されていました。こうした配慮もまた一流ホテルならではの心配りですね。内湯の直下に設けられた露天風呂は、内湯の躯体を屋根代わりにしており、内湯と同等かそれ以上の広さを有しています。一般的な浴槽よりも若干浅い造りなのですが、これは後述する入浴方法にとっては最適なのです。また、熱いお風呂が苦手な外国人客でも入れるよう、且つ日本人でもじっくりと長湯を楽しむことができるよう、湯加減はぬるめに設定されていました。


 
この露天浴槽は仕切り一枚を隔てて人工池と接しており、湯船に浸かると、まるで池と温泉が一体化しているかのような感覚になります。そして池の向こうには羊蹄山が泰然と聳えており、入浴客はみなさん池との仕切りに顎をのせ、体を伸ばして湯に浸かりながら、この雄大な景色を眺めていらっしゃいました。浅い湯船はこの姿勢で入浴するのにもってこい。ちゃんと考えて設計されているわけですね。なおお湯のオーバーフローは、その池へと流れ落ちていました。


 
露天の湯口から落とされるお湯は直接触れないほど熱く、内湯以上に濃く濁っていたのですが、それに関連して湯の華も非常に多く、特に湯口周辺の底部で大量に沈殿しており、お湯を動かすとボワっと一気に舞い上がって、湯浴みしている体が湯の華まみれになってしまいました。湯の華好きな温泉マニアの御仁にはたまらない現象かもしれません。
お湯を口に含んでみますと、塩辛いと表現したくなるほど明らかな塩味があり、弱い金気も伴い、内湯浴室に漂っていたようなアブラ臭もはっきりと嗅ぎとれました。そして食塩泉らしいツルスベの滑らかな浴感が得られました。濁り方や色、湯の華の現れ方、味、そして匂いなど、山形県朝日町の「りんご温泉」を彷彿とさせるのですが、「りんご温泉」もこのニセコ東山温泉(ニセコヒルトン)も、おそらくはグリーンタフ型の温泉なのでしょう。北陸〜東北〜北海道にかけての日本海側にはグリーンタフ(緑色凝灰岩)が地中に帯状に分布しており、これに伴って黒鉱・石油・天然ガス・温泉などの鉱物資源も点在しています。グリーンタフ型の温泉に関しては、しょっぱい黄土色の濁り湯だったり、アブラ臭のお湯だったり、無色透明の硫酸塩泉だったりと、場所によって現れ方が異なりますが、山形県朝日町やニセコ東山の地下には地質的特徴に何らかの共通点があって、似たような知覚的特徴の温泉が湧出するのかもしれません(とっても大雑把な推論なので、間違っていたらゴメンナサイ)。

細かな能書きはともかく、ロケーションといい、細かいところに手が届く造りといい、お湯の質といい、全てにおいてマーベラスな温泉浴場でした。料金とお湯の良さは反比例することが多いのですが、こちらはその公式を見事に覆してくれました。こちらを訪れる外国人旅行者の方々は、きっと日本の温泉の良さを満喫してくださることでしょう。


ニセコビレッジ源泉
ナトリウム-塩化物温泉 72.1℃ pH6.8 419L/min(動力揚湯) 溶存物質7.245g/kg 成分総計7.413g/kg
Na+:2037mg(81.21mval%), Mg++:99.0mg(7.47mval%), Ca++:148.2mg(6.78mval%), Fe++:5.6mg,
Cl-:3403mg(84.05mval%), SO4--:161.2mg, HCO3-:902.2mg(12.95mval%),
H2SiO3:268.2mg, HBO2:42.6mg, CO2:168.2mg,
(平成20年5月26日)
湯張り時のみ加水実施(源泉の温度が高いため)
加温循環ろ過なし

北海道虻田郡ニセコ町東山温泉  地図
0136-44-1111
ホームページ

日帰り入浴13:00〜21:00 通年営業
1,000円(ニセコ湯めぐりパス利用可能)
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
コメント (2)
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ニセコ湯本温泉 雪秩父 2015年12月再訪

2016年08月12日 | 北海道
ニセコ湯本温泉の有名施設「雪秩父」は、拙ブログにおいても2014年2月に記事にしておりますが(前回の記事はこちら)、その後一旦閉館を経て2015年に全面リニューアルされ、日帰り入浴施設として新たな道を歩み始めましたので、どのような姿に生まれ変わったのか自分の目で確かめるべく、営業再開から3ヶ月が経った同年(2015年)12月某日に訪問してみました。


 
私がリニューアルオープンした「雪秩父」を訪れたのは冬の日没後。旧施設はいかにも昭和の公共宿泊施設らしい渋くて地味な建物でしたから、その姿を想い抱きながら現地へ向かったのですが、駐車場入口に立つ電照看板を目にした時は、ここが本当に「雪秩父」なのかと我が目を疑いました。完全にゼロから建て直したのですね。駐車場へ向かうアプローチの側溝から湯気が上がっていました。


 
エントランス部分です。旧施設の面影は全くありませんね。以前は宿泊施設でしたが、現在は日帰り入浴専門施設として営業形態が変更されたため、建物は平屋となり、以前と比べてかなりコンパクトになりました。そのかわり外壁には木材が用いられて、周辺環境と馴染むような配慮がなされていました。また、玄関にはスロープが設けられ、バリアフリーが図られていました。



先に述べたように私が訪れたのは夕方の日没後でしたが、こちらではお昼時に限り、食堂でお蕎麦などの軽食がいただけるみたいですよ。そんな食堂や休憩用のお座敷を横目にしながら、物販品が陳列されている通路を進んで受付へと向かい、券売機で料金を支払います。なお貴重品類は受付前にあるロッカーへ預けましょう(脱衣室にロッカーはありません)。


 
受付前にある階段を下りて浴室へ。そういえば旧施設もフロントから階段を下って行きましたね。
脱衣室は旧施設と比べて半分以下の空間に縮小されてしまいましたが、まだ新しいだけあって隅々までピカピカに輝いており、明るく清潔感に満ちていて、使い勝手も問題ありませんでした。


 
お風呂は内湯と露天がありますが、まずは内湯から。
浴室は新しくて清々しく、以前と比べれば利便性ははるかに向上したのですが、極めて実用的且つ現代的で、温泉風情を感じさせてくれるような飾りは無く、御影石っぽい石板タイルと白い壁が無機質でお役所的。温泉というより公衆浴場といった佇まいのように思われました。男湯の場合は、向かって右手に浴槽が2つ並び、左側に洗い場が配置され、シャワー付き混合水栓が10基、そして立って使うシャワーが1つ、計11基のカランが1列に並んでいます。


 

浴場において硫黄泉と鉄鉱泉という2つの源泉が使われているのは以前と同様です。窓側に配置されている浴槽は大小2つに分かれており、手前側の大きな浴槽は、すぐそばの湯沼からお湯を引いている硫黄泉です。浴槽のサイズは(目測で)6m×3mで、湯加減は42〜3℃前後に調整されていました。湯船のお湯はグレーに強く濁り、透明度は10cmにも満たないほどで、はっきりとした硫化水素臭とともにツーンとくる刺激臭を放ち、酸味と口腔に残る苦みや痺れを有しています。泥湯を思わせるクリーミーなお湯であり、足裏やお尻など槽内に触れた肌には、硫化鉄の黒い筋が付着しました。
なお、館内に掲示されている温泉分析書は旧施設当時のものがそのまま流用されていました。


 

小さな浴槽は鉄鉱泉で、大きさは3m四方。ジャスミン茶のような淡い色を帯びたお湯は、ややぬるめの長湯仕様になっており、湯中では褐色を帯びた羽根状の湯の華が浮かんでいました。また湯口はクリーム色に染まっていましたが、お湯自体が持つイオウ感は弱く、まさに名前の通りの金気のお湯といった感じです。
内湯の硫黄泉・鉄鉱泉ともに完全放流式の湯使いですが、浴槽のお湯は全量が窓側の溝へ落ちて流れる構造になっているため、洗い場側へはオーバーフローしません。


 
つづいて露天風呂へ。カギ状に曲がる木造覆いのコリドーもリニューアルに伴って新しく作り直されたのですが、でもその造りや雰囲気は旧施設の面影を残しており、ここに至ってようやく「あ、俺はいま雪秩父にいるんだ」と実感することができました。



リニューアルされた露天風呂で大きく変更された点は、男湯と女湯で浴槽の数が異なることです。上画像は露天の構内図なのですが、女湯には硫黄泉と鉄鉱泉の両源泉を用いた4つの浴槽(そして泥湯と上がり湯)があるのに対し、男湯は硫黄泉のみで浴槽も2つだけと大幅縮小されてしまいました。男としては残念ですが、でも日本には男湯の方が大きくて立派な古いタイプの温泉施設がまだまだたくさん残っていますし、何よりも女性のハートを掴むことが利用者の増加には必須ですから、このような措置はむしろ自然な流れではないかと思われます。もしメニニズムの野郎共が騒ぎ立てたとしても、黙殺しちゃえば良いのです。



男湯の露天風呂は、楕円形の「ふれあいの湯」と四角形の「檜風呂」の2つ。「ふれあいの湯」は旧施設時代のものを流用しており、以前と同様に屋根付きの浴槽にはグレーに濁った硫黄泉が張られていました。ただ、この日の当浴槽は44〜5℃近くあり、熱い風呂に慣れているはずの私でもあまり長くは浸かっていられませんでした。湯沼のお湯を直接引き、投入量を調整することで湯加減をコントロールしているのでしょうけど、湯沼のお湯はその時々によって温度が変化しますから、私が訪れた時のように熱い場合もあれば、逆にぬるくなっちゃう時もあるのでしょうね。その不安定さこそ完全掛け流しである証と言えましょう。 

一方「檜風呂」は、旧施設時代には一段上がったところに設けられていましたが、現在では「ふれあいの湯」と同じ高さに移されていました。こちらにも硫黄泉が張られているのですが、42℃前後で入りやすく、しかも屋根など浴槽を覆う構造物がないので、今回私はこの「檜風呂」に入り続け、空を見上げて冬の星々をひたすら眺めていました。なお「ふれあいの湯」「檜風呂」ともに完全掛け流しです。



露天風呂に関しては暗くて全然写りが悪いため、蘭越町公式サイト内にある紹介ページから画像を拝借させていただきました。上画像が男湯の様子です。画像中央に移る楕円形の浴槽が「ふれあいの湯」。柱に隠れてあまり見えないのですが、奥に設けられている四角い木のお風呂が「檜風呂」です。



参考までに、同じページには女湯の露天風呂の画像も掲載されていたので、こちらも拝借致しました。明らかに女湯の方が充実していますね。こんなバラエティーに富んだ露天風呂に入れる女性が羨ましいなぁ。

新しく生まれかわった内湯はかなり実用的になり、使い勝手が格段に向上した反面で個性が失われたような気もします。その一方、露天風呂は開放的で旧施設の面影を残しており、特に女湯に関しては充実していますから、当地を旅行なさる女性は是非こちらを訪れて、泥湯で美肌効果を試してみてください。


硫黄泉
単純硫黄温泉(硫化水素型) 56.8℃ pH3.9 湧出量未記載(自然湧出) 溶存物質0.161g/kg 成分総計0.557g/kg 
H+:0.1mg, Na+:8.5mg(25.17mval%), Mg++:5.7mg(31.97mval%), Ca++:8.4mg(28.57mval%), Al+++:0.4mg, Fe++:0.6mg,
Cl-:4.3mg, S2O3--:1.0mg, SO4--:64.2mg(90.54mval%), HSO4-:0.3mg,
H2SiO3:65.4mg, CO2:380.7mg, H2S:14.6mg,
(平成20年11月10日)

鉄鉱泉
単純温泉 62.8℃ pH6.2 湧出量未記載(動力揚湯) 溶存物質0.746g/kg 成分総計0.841g/kg
Na+:58.3mg(36.87mval%), NH4+:0.7mg, Mg++:25.1mg(30.04mval%), Ca++:33.8mg(24.53mval%), Fe++:3.9mg,
Cl-:8.7mg, SO4--:53.5mg(16.95mval%), HCO3-:315.5mg(78.93mval%),
H2SiO3:227.6mg, CO2:95.0mg, H2S:0.2mg,
(平成19年9月10日)

北海道磯谷郡蘭越町字湯里680番地  地図
0136-58-2328
ホームページ

10:00~20:00 火曜定休(祝日の場合は翌日)
500円
ロッカー(100円リターン式)・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5
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くっちゃん温泉 ホテルようてい

2016年08月10日 | 北海道
 
倶知安の街中から西の丘へ上がった先にある「くっちゃん温泉 ホテルようてい」で日帰り入浴しました。昭和の残り香を漂わせる渋い外観ですが、建物自体は左右に長く、駐車場も広く確保されており、この駐車場からはホテル名の由来である羊蹄山のほか、ニセコの山々も望めました。


 
玄関入ってすぐのところに設置されている券売機で料金を支払い、フロントに券を差し出して浴場へと向かいます。私が訪れたのは木曜日のお昼時だったのですが、フロントの向かいにある食堂は多くのお客さんで賑わっていました。浴場はフロントから左へ曲がって下足場を過ぎたステップの先。いつもは手前側が女湯で、奥が男湯と設定されているのですが、月曜と木曜は男女が入れ替わるため、木曜であるこの日は、手前側の浴場に紺の暖簾がかかっていました。


 
建物は年季が入っていますが、スピーカーからジャズが流れる脱衣室は、近年改修されたのか明るく綺麗で、棚やカゴもたくさん用意されており、使い勝手に問題ありません。


 
奥に向かって長い作りの浴室には、後述する各浴槽のほかサウナが設けられており、手前側に配置されている洗い場には計10基のシャワー付きカランが取り付けられていました。


 
浴室内にある浴槽は、石張りの塀下に据えられた主浴槽のほか、3人サイズの泡風呂(ジャグジー)と2人サイズの水風呂の計3つです。適温の温泉が張られた主浴槽は「く」の字のような形状をしており、槽内は全体的に薄っすらと黄土色に染まっていて、縁の上をお湯がふんだんにオーバーフローしていました。館内表示によれば、主浴槽と泡風呂には1号泉と2号泉を混合した温泉が用いられているのですが、水風呂に関しては水道水のほか、1号泉の温泉も加えられているそうです。でも温泉が混じっているとは思えないほどキンキンに冷たかったので、冬場の水風呂が苦手な私は遠慮させてもらいました。主浴槽のみならず、他の浴槽からもお湯や水が絶え間なく溢れ出ており、温泉成分のこびりつきによって、床タイルの表面は橙色に薄っすらと染まっていました。


 
主浴槽では倶知安町のご当地キャラを戴く石の湯口から温泉が吐出されており、そのまわりには温泉成分によってベージュ色の凸凹が付着し、お湯が滴る吐出口直下は赤く染まっていました。倶知安町のご当地キャラは「じゃが太じゃが子」という雌雄ペアなんだそうでして、こちらのお風呂は普段は女湯として使われているため、レディーである「じゃが子」の像が採用されていました。


 
露天風呂はテラスのような構造になっていて、雪対策なのか浴槽はしっかりと屋根で覆われているのですが、テラス自体が広いので結構な開放感が味わえます。このお風呂で白眉なのは、塀の一部を敢えて低くすることで、湯船に浸かった状態で羊蹄山が眺められるよう配慮されている点です。名峰の名を冠する温泉ホテルですから、是非ともその山を眺めながら湯浴みしたいところですが、でもテラスの先は駐車場なので目隠しを立てることも欠かせない。そんなロケーションの中、ちょっとした工夫をすることにより、湯浴み客を満足させようとしている点は大いに評価したいものです。また、広いテラスにはデッキチェアも用意されているので、これに腰掛けながら羊蹄山を眺めつつお湯で火照った体をクールダウンさせることもできます。とにかく気持ちの良いお風呂です。


 

タイルの壁に開けられた細長い湯口から温泉が落とされており。内湯の湯口と同じく吐出口の直下は赤茶色に染まっていました。内湯の主浴槽と同じく1号泉と2号泉をブレンドしたお湯が使われています。露天の浴槽は(目測で)3.5m×2.5mの長方形で、足を伸ばしても10人以上は入れそうな容量があります。浴槽の周りにはオーバーフローの温泉成分によって、茶色や褐色の凸凹が広範囲にわたってこびりついていましたが、お湯と常時触れている槽内タイルはそのようなこびりつきが見られず、元々の綺麗な水色が維持されていました。おそらくこまめに且つ徹底的に清掃されているのでしょう。

お湯の見た目は薄っすら山吹色を帯びた微濁で、赤茶色の浮遊物がチラホラ舞っています。口に含むと、甘塩味+薄出汁味+金気味+弱炭酸味+清涼感という多種多様な味覚が得られ、金気の匂いとともに僅かにゴムのような匂いも感じられました。このような見た目のお湯ですと、えてしてギシギシ引っかかる浴感である場合が多いのですが、こちらのお湯は、多少の引っ掛かりを確認できるものの、明らかにツルスベの方が勝っており、しかも弱い泡付きも見られました。湯使いに関する館内表示は確認できませんでしたが、完全放流式で間違いないでしょう。界隈で湧くニセコ黄金温泉や(廃業してしまった)ニセコ薬師温泉などと同系統のお湯かと思われます。今回は日帰り入浴のみでしたが、次回は宿泊し、今回利用できなかった奥側の浴室にも入ってみたいものです。


1号井と2号井の混合
ナトリウム-炭酸水素泉・塩化物温泉 49.3℃ pH7.3 溶存物質2.529g/kg 成分総計2.624g/kg
Na+:649.5mg(82.70mval%), Mg++:54.9mg(13.23mval%), Ca++:22.0mg,
Cl-:470.9mg(39.02mval%), HS-:0.3mg, HCO3-:1219mg(58.71mval%),
H2SiO3:54.1mg, HBO2:16.7mg,
(平成26年3月28日)

JR函館本線・倶知安駅より徒歩18分(1.4km)
北海道虻田郡倶知安町字旭69  地図
0136-22-1164
ホームページ

日帰り入浴10:00〜22:00
800円
ロッカー(100円リターン式)・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5
コメント (2)
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赤井川カルデラ温泉 赤井川村構造改善センター

2016年08月09日 | 北海道
残暑お見舞い申し上げます。
この蒸し暑い中、わざわざ熱い温泉なんて入りたくないと仰る方もいらっしゃるかと思いますが、今回記事からはしばらく半年前の冬に訪れた北海道の温泉を、雪景色とともに紹介させていただきますので、画像に写る雪景色をご覧になることで一服の涼を感じていただければ幸いです。
まずは小樽や余市の南方に位置する赤井川村から巡ることにしましょう。

 
赤井川村の中心部は、環状のカルデラに囲まれた円形の盆地になっています。そのカルデラを形成した火山は現在活動していませんが、かつての名残なのかボーリングによって地中から温泉が湧き出ているようです。村役場の裏手にある「赤井川村構造改善センター」には温泉浴場が併設されており、その名も「赤井川カルデラ温泉」と称します。温泉浴場を設けたところで村の構造がどのように改善されるかわかりませんが、カルデラ温泉というユニークな名前に心惹かれた私は、どんなお湯と出会えるのか、行ってみることにしました。


 
玄関入って右手に受付、左手に座敷、奥に食堂があり、入浴や食事などを通じて村民が集える場となっているようです。冬の農閑期にはその機能を存分に発揮することでしょう。また、玄関ホールでは農産物などの食料品が販売されており、生活面も支えているようでした。受付前に設置されている券売機で料金を支払い、受付の右斜め前に掛けられている暖簾をくぐって浴場へと向かいます。


 
この「赤井川カルデラ温泉」は2014年にリニューアルされており、従来の浴場に加えて新浴室が増設されました。まずは従来の浴場(以下、本館浴場)から見て行くことにします。
本館浴場は大きなガラス窓と高くそびえる岩の壁が印象的で、その壁の下に岩や石で縁取られた主浴槽が設けられています。窓の面積が大きく採られている割には、室内はさほど明るくないのですが、これは後述する露天風呂のスペースを確保するため、本館浴場をセットバックさせているためかと思われます。
浴室の脱衣室側には洗い場が配置され、計10基のシャワー付きカランが並んでいました。なお洗い場に備え付けられているアメニティーは石鹸だけですので、ボディソープやシャンプーなどが必要な方は持参することをおすすめします。


 
うずたかく積み上げられた岩の上から、50℃近い熱いお湯が滝のように浴槽へザバザバと落とされており、湯船からは惜しげもなくお湯が溢れ出ていました。浴槽を縁取る岩は浴槽自体をも大小に分割しており、小さな方は若干浅くなっているのですが、湯加減は大小で差はなく、私の体感で42〜3℃といったところでした。


 
本館浴場のガラス窓の外側には露天風呂がお湯を湛えていました。降雪地ゆえに頭上は屋根で覆われており、また周囲は目隠しのために塀で囲まれていますが、塀と入浴ゾーンの間には庭のようなバッファが広く確保されているため閉塞感はなく、塀の下に積もった雪を眺めながら雪見風呂を楽しませてもらいました。欲を言えば、建物を支える太い柱が邪魔で艶消しなのですが、こればかりは構造上致し方ありません。


 

本館浴場の内湯と同様にこちらも岩風呂であり、岩積みの上からお湯が落とされていますが、その大きさははるかにコンパクトで、寸法は目測でおおよそ2m×3m、5〜6人サイズといったところでしょうか。なお内湯はタイル貼りでしたが、こちらは底面に鉄平石が採用されており、より本格的な岩風呂としての風情を醸し出しています。湯加減は内湯より若干42℃前後ですが、外気の影響を受けるにもかかわらずこの温度が保たれているのは投入量の多さのおかげであり、見ているだけで豪快な気持ちになるほど、浴槽縁の上をお湯がどんどん溢れ出ていました。


 
最後に、本館浴場に隣接している新浴室にも入ってみました。横に長い窓に面して浴槽が据えられ、その手前側の左右に洗い場を配し、さらにはサウナや水風呂なども設けて、利用者の多様なニーズに応えています。壁に木材を用いることによって、岩風呂の本館浴場とは違った柔和でぬくもりのあるイメージを作り出そうとしていますが、新しいお風呂なのに天井が低いので、明らかに後から増設した感が強く、開放感としては本館浴場の方が勝っているかもしてません。


 
浴槽は4m×3mの四角形で、14〜15人は入れそうなキャパがあります。槽内こそタイル張りですが縁には木材が用いられ、壁とともに和の温泉らしい風情を漂わせていました。ただこの新浴室のお風呂は、なぜか一般的な浴槽よりも全体的に浅く作られているため、若干寝そべるような姿勢にならないと肩まで湯に浸かれません。また、御影石の湯口から注がれるお湯は本館浴場や露天風呂と同じお湯ですが、湯加減は41℃程度に抑えられていました。このため、常連さんは深くて入り応えのある以前からの本館浴場を好む傾向にあり、せっかく増設したこのお風呂にはあまり利用されていないようでした。屁理屈を言えば、この新浴室のように、胸上程度の嵩のお風呂でぬるめのお湯に浸かるのが健康のためには良いのでしょうけど、メインの利用者層である地元のお年寄りにとって、そのようなお風呂では入った気になれないのでしょうね。

さてお湯に関するインプレッションですが、見た目は無色透明で、湯の花などは見られずクリアに澄んでいます。温度調整のために加水されていますが、各浴槽とも放流式の湯使いであり、投入量が多いのでしっかりとオーバーフローしていました。お湯を口に含むと、薄い塩味と弱い芒硝感が確認でき、そしてその2つに隠れるようにして微かな石膏感も伝わってきました。湯中では食塩泉的なツルスベと硫酸塩泉的な引っかかりが混在する浴感が得られたのですが、加水の影響でお湯が持つそもそもの個性がいくらか弱まっているような気がします。でも湯上がりは温泉ならではの温浴効果が発揮され、体の芯からホコホコし続けました。一見すると真湯と大差ないように想えてしまうのですが、よくよく感じてみると流石温泉だと納得できる、通好みの温泉でした。


ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉 56.8℃ pH8.5 湧出量未記載(動力揚湯) 溶存物質1.450g/kg 成分総計1.450g/kg
Na+:380.0mg(74.26mval%), Ca++:112.3mg(25.16mval%),
Cl-:372.8mg(49.65mval%), HS-:0.3mg, SO4--:454.0mg(44.60mval%), HCO3-:53.1mg, CO3--:10.0mg,
H2SiO3:56.3mg,
(平成20年7月8日)
加水あり(源泉温度が高いため水道水を加えている)

北海道余市郡赤井川村字赤井川71番地2  地図
0135-34-6441
ホームページ

10:00〜21:00(受付20:30まで) 月曜定休(祝日の場合は翌日)
400円
ロッカー(100円リターン式)・石鹸・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5
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北広島市 竹山高原温泉

2016年05月06日 | 北海道
 
札幌の街へ向かう前、ちょっと温泉に入りたくなって、千歳線に乗り換えて北広島駅で下車しました。


 
駅前ロータリーから、福住駅行き路線バスに乗車します。


 
バスは近郊の住宅街を抜け、真っ暗な森の中に入って行きます。北広島駅から15分弱ほど乗った「竹山」バス停で下車。周囲に民家は見当たらず、街灯も少なく、下車した瞬間はとっても心細かったのですが、辺りを見回しますと、目的地の看板が目の前に立っていましたので、この看板に従ってバスの通りから路地を下って行くと・・・


 
バス停から2~3分で目的地である「竹山高原温泉ホテル」に到着しました。その名の通り宿泊施設なのですが、日帰り入浴も積極的に受け入れています。玄関の内側にある券売機で料金を支払い、笑顔で出迎えてくれるフロントのスタッフさんに券を差し出して、館内の奥へと進みました。


 
フローリングの広い休憩ホールで寛ぐ湯上がり客を横目にしながら、ステップをちょっと下って浴室へと向かいます。


 
男女別のお風呂にはそれぞれ内湯と露天風呂が設けられています。まずは内湯から。
浴室は天井が高く、主浴槽の上には大きな窓もあり、冬季にもかかわらず湯気篭りが少なく快適な入浴環境が保たれていました。室内にはP字形の大きな温泉主浴槽の他、1~2人サイズの小さな薬湯槽、そして後から増設したと思しきスペースにサウナと水風呂が設置されていました。また浴室出入口の近くには掛け湯の小さな槽も据え付けられています。
洗い場は室内の左右に分かれおり、計13基のカランが取り付けられています。スパウト・シャワーともにオートストップ式の単水栓で、お湯だけが吐出されます。

P字形の温泉主浴槽は、左右の幅が5~6m。浴槽の丸い部分ではジェットバスが稼働していました。北広島から千歳にかけての一帯はモール泉の温泉が点在していますが、この温泉もその典型例。湯船にはコーヒー色のお湯が張られており、底面が見えないほど濃い色を呈しています。角っこにある赤御影石でできた扇型の湯口からは、非加温の生源泉と思しき鉱泉が出ており、その直下の槽内からは加温されたお湯が吐出されていました。非加温の生源泉は(私の体感で)25℃前後、微かに鉱物油っぽい風味が得られたものの、ほぼ無味無臭に近いように感じられました。色が濃いのでてっきり味や匂いも主張が強いのかと思いきや、意外な肩透かしを食らった感じです。なお館内表示によれば加温・循環ろ過・消毒が実施されているそうですが、消毒に関して特にカルキ臭さは気になりませんでした。



浴槽のお湯を桶に汲んでみました。色だけは一丁前のモール泉なのですが、それらしき味や匂いが弱いのが惜しいところです。また浴感に関しても、モール泉でしたらツルツルスベスベの滑らかな肌触りが楽しめるはずですが、こちらのお湯は、たしかにスベスベしているものの、さほど強くはなく、ちょっと力を入れて肌を摩ったら滑らかさが止まってしまうほど頼りないものでした。分析書のデータを見る限りでは、美人湯のような実力を持っていても不思議ではない鉱泉ですから、なんらかの外的影響によってパワーダウンしているのかもしれません。


 
 
この浴場で感心したのは露天風呂です。道内で採掘された600トンの石材を使った岩風呂は、小高い丘の上に位置しているため、北西方向の市街地、おそらく輪厚や清田区方面で煌めく夜景を(木々の間から)一望することができます。日中には樽前山や恵庭岳を眺めることができるんだとか。
なお露天風呂も加温・循環ろ過・消毒の湯使いですが、内湯同様に源泉の投入も並行して行われているんだとか(暗かったため投入場所は確認できませんでした)。私の訪問時は加温が程々に抑えられていたため、夜景を眺めながらのんびりゆっくりと長湯することができました。露天の浴槽には特に屋根のようなものはありませんが、その片隅には東屋が建てられているため、そこで雨を凌いでひと休みすることもできます。とても都市近郊とは思えない自然豊かな場所ですから、息抜きするにはもってこいの環境かと思います。


アルカリ性単純温泉 26.1℃ pH8.9 236L/min(動力揚湯) 溶存物質0.356g/kg 成分総計0.363g/kg
Na+:74.0mg(93.06mval%),
Cl-:6.9mg, OH-:0.1mg, HS-:0.6mg, HCO3-:129.5mg(62.54mval%), CO3--:24.6mg(24.19mval%),
H2SiO3:101.4mg, 腐植質7.2mg,
(平成22年12月17日)
加温あり(入浴に適した温度に保つため)
循環ろ過あり(温泉資源の保護と衛生管理のため)
消毒あり(衛生管理のため。塩素系薬剤とオゾンを使用)
源泉を主浴と露天風呂に加泉。

北海道中央バスの北広島駅~福住駅(輪厚ゴルフ場経由)で「竹山」下車
北海道北広島市富ヶ岡896番地  地図
011-373-2827

日帰り入浴10:00~22:00(最終受付21:00) 第2・4月曜定休
600円
ロッカー(100円リターン式)・シャンプー類・ドライヤーあり

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