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肘折温泉のランドマークと言っても過言ではない共同浴場「上の湯」に関しては、温泉ファンのみならず多くの方がネット上で様々な形で紹介なさっていますから、ボキャブラリの貧相な私が今更駄文を垂れ流してあーだこーだ申し上げたところで何の価値もありませんが、かと言って「河原湯」「疝気湯」と続いて「上の湯」を取り上げないわけにはいかないので、数点の画像と共に簡潔に書き綴ってみます。
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浴室入口は1階のバス通りに面していますが、その手前から上層階へ昇る外階段の下には、洗濯用と思しき温泉槽が顔をのぞかせていました。こうした生活に密着した設備こそ、温泉地の共同浴場らしさを感じさせてくれますね。
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宿泊先のお宿で「上の湯」の無料入浴券を手にしているので、これを番台のおばちゃんに手渡し、若女将会特製の暖簾を潜って脱衣室へ入ります。肘折に3箇所ある共同浴場のうち、ここだけ有人なんですよね。さすがに当地を代表する共同浴場だけあって、他2箇所の共同浴場よりはるかに広いスペースが確保されています。
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ほぼ朝一番のタイミングで利用したのですが、屋外との温度差のためか室内は濃い湯気が充満しており、思いっきり視界不良でした。このためどれだけ頑張っても私の安物デジカメではこれが限界です。何を撮っているかわからない画像でごめんなさい。このお風呂に関してはネット上で多くの方が撮影なさっていますから、もし浴室の様子を知りたい場合は、お手数ですがググッて他サイトをご覧くださいませ。
一般的に曇っている浴室は不評である場合が多いのですが、もしお風呂が混雑していたとしても、周囲の様子がほとんど見えないが故に他のお客さんの姿が視界に入ってこないので、混雑を気にせず入浴できるメリットがありますし、なにしろ幻想的でもありますので、へそ曲がりな私はこの理由により曇ったお風呂が結構好きだったりします。尤もこの時は私以外にどなたもいらっしゃらなかったのですが…。
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「上の湯」といえば浴槽の縁に佇むこのお地蔵さんですね。台座の説明によれば…
大同二(807)年老僧(地蔵権現)がこの「上の湯」を発見し、折れた肘を洗ったら傷も治り気力も増した。次来この霊湯は仏の慈悲として伝えられている。老僧の住んだ洞窟を「地蔵倉」と呼び聖地とした。老僧の折れた肘が湯で治ったということからこの温泉を「肘折温泉」と名付けた。
とのこと。いくら1200年前の話とはいえ、お湯で洗っただけで折れた肘が治るもんかしら…なんて疑っちゃう私は、生粋の野暮なのかもしれません。
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お地蔵さんの下から滔々とお湯が注がれて広い湯船を満たし、浴槽の縁から静々とオーバーフローしています。使用源泉は3号と4号の混合泉で、多少黄土色を帯びて霞んでいるものの石板貼りの底がはっきり見える程度の透明度を有しており、湯口のお湯を手に掬って口に含んでみますと、甘塩味と金気味、そして薄い出汁味と炭酸味が感じられます。他施設で多く導入されている2号泉と違って炭酸っぽさが強い一方で金気と濁りは弱く、浴槽や床で赤茶けた箇所はあまり見られません。やや熱めですがトロトロした浴感が心地よく、さすがお地蔵さんの霊湯は違うなと思わずニンマリしたくなりました。
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肘折の他の共同浴場と同じく室内にシャワーなどの設備は無いのですが、その代わりにちゃんとした上がり湯が設けられている点は、当地を代表する「上の湯」のグレードの高さを示しているのかも。
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屋外から入口の戸付近に向かって一本のパイプが突き出ており、そこから桶にぬるいお湯が落とされており、浴槽などに注がれること無く、そのまんま床へ捨てられていました。
ちなみに私の入浴中、温度計を手にしたおじさんが入ってきて、私に湯加減を確認した上で浴槽や上がり湯、そしてこのパイプのぬる湯の温度を計測して、そそくさと去っていきました。ということはこのぬるいお湯も管理対象になっているわけですよね。でも何のためにお湯がここへ引かれて捨てられているのかしら。
あぁ、冒頭で簡潔に書き綴ると申し上げておきながら、いつものようにだらしなく戯言を吐き続け、その上答えが見出だせない疑問をイタチの最後っ屁のように呈して文末を誤魔化す始末。大変失礼いたしました。
組合3号源泉・組合4号源泉混合
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 69.0℃ pH6.5 蒸発残留物2965mg/kg 溶存物質3429mg/kg
Na+:898.8mg, K+:72.7mg, Mg++:26.8mg, Ca++:78.4mg,
Cl-:1055mg, SO4--:214.2mg, HCO3-:849.9mg,
H2SiO3:159.1mg, HBO2:66.7mg, CO2:309.2mg,
(平成19年10月10日)
源泉温度が高いので井戸水で加水
山形県最上郡大蔵村南山
肘折温泉ホームページ
8:00~18:00 木曜は清掃のため休業
200円
備品類なし
私の好み:★★★