温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

川根温泉 ふれあいの泉

2023年07月14日 | 静岡県

(2022年7月訪問)
箱根八里は馬でも越すが越すに越されぬ大井川。
子供の頃に学校で習った言葉ですが、自分で旅するようになって実際の大井川を見たら、荒涼とした礫の河原がだだっ広く広がるだけで、肝心の川の流れは想像よりはるかに細く、これならば馬でも川を越せるのではないかと古の言葉を疑ったものですが、それもそのはず、上流に30以上もある水力発電用のダムで取水してしまうから、川の本流を流れる水が激減してしまうんですね。とはいえ、細くなってしまった大井川を流れる川の水は、今でも大変綺麗であり、上流に向かって右岸から左岸へ川を越す大井川鉄道の車窓から川面を見下ろすと、その清らかさに心が洗われる思いになります。


さてこの大井川鉄道が大井川を越す鉄橋のそばには、川根温泉の露天風呂があり、湯浴みしながら鉄橋を走るSLが眺められるとして、以前からとても有名です。私も20年近く前に一度利用したことがあるのですが、2022年7月、久しぶりに再訪してみることにしました。
大井川鉄道の川根温泉笹間渡駅から近く、また道の駅「川根温泉」と併設されているために利用客が多く、大きな建物を擁する館内は今回も大変賑わっていました。まずは玄関を入って下足箱に靴を預け(鍵は自分で退館時まで保管)、そばにある券売機で料金を支払います。


大きな提灯の下には大きな受付があるのですが、券売機で利用料金を支払った場合は、そこを通過して奥の温泉専用受付へ向かうことになります。なおその大きな受付付近には休憩室や物販コーナーがあります。


玄関から左へ折れ、座敷部屋の左に見ながら通路をまっすぐ進みます。温泉浴場は本棟に隣接する六角堂みたいな建物で、渡り廊下により接続されています。六角堂の入口に温泉専用の受付がありますので、そこで入浴券を提出します。訪問時、受付のおばちゃんはとっても愛想よく対応してくださいました。

この六角堂は、全体の4割ほどが男女の脱衣室で、残りが内湯の浴室という造りになっているようです。
脱衣室はそこそこ広く、無料のロッカーが設置されており、洗面台は3~4ヶ所、ドライヤーは2つほど用意されています。

(今回の記事にお風呂の画像はございません。関心ある方はお手数ですがGoogleなどで検索してみてください)
上述のように、六角堂の残り6割ほどは男女別の浴場(内湯)です。
壁沿いなどに配置された洗い場には13か14個のシャワーが設けられており、この他に入り口付近には掛け湯が用意されています。
内湯の浴槽はひとつだけで、湯口はSLみたいな形状をしており、そこから自家源泉の温泉が注がれています。浴槽のお湯は茶色みを有しがら黄色に弱く濁っており、特に室内では暗い黄土色のような濁り湯に見えます。かけ流しの湯使いです。

続いて有名な露天風呂へ。
大井川を渡る大井川鉄道の鉄橋を目の前にしたロケーションで、上述のように鉄橋を渡るSLを眺めながら湯あみすることができる、全国的にも極めて珍しい温泉露天風呂です。もちろんSLのみならず、列車が走っていない時には大井川や周辺の山々を眺望できますので、開放感も素晴らしいものがあります。

この露天風呂には浴槽が5個あり、男湯の場合、川に向かって左側に檜風呂、その隣に壺湯を二つくっつけたような41℃のお風呂、右手に41℃の細長いお風呂、そして川に面して44℃の浅めの湯船(上流)とその下流に当たる42℃の浴槽といった順に並んでいます。
このうち檜風呂は暑い時期になると水風呂として使われ、私の訪問時にもお兄さんたち次々にこの水風呂へ入り、気持ち良さそうな顔をしながら火照った体をクールダウンしていました。なおサウナは見当たらなかったような気がするのですが、もし誤りであればご指摘ください。

この水風呂以外には全て温泉が張られています。この中でも川に面している44℃の浴槽はお湯の透明度が他浴槽よりも高く、鮮度感が良好です。岩組みの上から温泉が落とされており、その岩にはトゲトゲしたものや、まるで筋肉のような曲線を描く析出が付着しています。おそらく岩の上では源泉に近い温度(つまり48℃近く)で、そこから浴槽へ落とされる過程で44℃まで下がるのでしょう。といっても44℃の湯船はさすがに熱く、長湯できません。
その下流にあたる42℃の浴槽が丁度良い湯船かと思います。
一方、それらとは別個になっている右側手前の細長い41℃浴槽は長湯向けの湯船であり、やはりトゲトゲの析出がこびりついた専用の湯口があるのですが、あくまで私の体感で申し上げると、こちらの浴槽は加水されているのではないかと思います(間違っていたらごめんなさい)。

海岸から結構離れた内陸の山間部で自噴する温泉ですが、そのお湯はかなりしょっぱく、また少々の出汁味も含まれている、純然たる高張性の食塩泉です。濃い塩味もさることながら、メタ硼酸の含有量が多いことも特徴のひとつでしょう。なお分析表には「微硫化水素臭」と記載されているのですが、少なくとも浴場の湯口ではそのような匂いは感じられませんでした。きっと湧出直後や貯湯タンクでは嗅ぎ取れるのでしょうね。また、お湯の濁り方から想像するとお湯に金気が含まれているように思えるのですが、匂いや味には金気らしさは得られませんでした。いや、塩辛さのために他の味や匂いがわからなくなっているのかもしれません。湯中ではツルツルスベスベの滑らかな浴感が得られ、ロケーションも含めてとっても気持ち良く湯あみできました。
各浴槽とも大量かけ流しで湯量豊富。鮮度感もしっかり。ロケーションのみならず、お湯もまた素晴らしく、人気を博するのも頷けます。


敷地の島田寄り(下流側)に大きなは源泉施設があり、そこには近隣の木材によって作られた大きな木造の貯湯タンクがあります。


説明によれば、この木製貯湯タンクは、内径6.5メートル、高さ3.8メートル、有効水量100㎥。大井川流域(島田市内)で生育・伐採された樹齢80年以上の杉材を使用し、林業地域振興基金を活用して造られたそうです。


タンクの隣には温泉スタンドもあり、持参したポリタンクに温泉を詰めて持ち帰ることもできます。道の駅や温泉の受付で専用のコインを購入して利用します。60円でコイン1枚を購入でき、そのコイン1枚につき20リットル出るそうです。


茶里夢の里笹間渡温泉 茶里夢の泉笹間渡1号
ナトリウム-塩化物温泉 48.7℃ pH7.8 545L/min(掘削自噴) 溶存物質11.27g/kg 成分総計11.28g/kg
Na+:4031mg(94.98mval%), Ca++:131.6mg(3.56mval%),
Cl-:6462mg(97.40mval%), Br-:3.0mg, I-:2.3mg, HS-:0.1mg, HCO3-:293.6mg(2.57mval%),
H2SiO3:31.8mg, HBO2:238.3mg,
(2021年3月24日)

静岡県島田市川根町笹間渡220
0547-53-4330
ホームページ

9:00~19:00(最終受付18:00) 第1・第3火曜定休
520円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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コメント
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