(2023年2月訪問)
前回記事に続いて閉業してしまった温泉施設の記事となってしまい申し訳ございません。
前回記事の「弥生の里温泉」は訪問前から閉業することはわかっていましたが、今回ご紹介する堺市の銭湯「トキワ温泉」はこの度ブログで記事にするまで閉業の事実を知らず、記事を書くにあたって事実関係を確認すべくネットを調べたら2023年6月下旬に閉業していたことを知ってビックリした次第です。近年は温泉施設が相次いで閉鎖していますので、行きたい温泉があれば「また今度でいいや」ではなく、可及的速やかに訪問日程を立てるべきでしょう。後悔先に立たず。この言葉ほど温泉巡りにピッタリな教訓はありません。
さて、2023年2月に堺市を訪問した私は、阪堺電車に乗って神明町電停で下車。
電停から数ブロック歩いてゆくと・・・
目的地である「トキワ温泉」に到着です。この時は銭湯のオープン時間(13時)に合わせて訪ねたのですが、まだシャッターが閉まっており、玄関の前ではたくさんの爺さん婆さんが列を作って開店を待っていました。
やがて上半身裸のおじさんがせわしない感じで現れてシャッターを開けてくれました。開店準備に時間がかかっていたのでしょう。施設の方々が日々汗を流して準備してくださることで我々は気持ち良いお風呂に入れるわけですから、そのご苦労には心から感謝しなければなりません。
入浴券は下足場に設置された券売機で購入します。面白いのが、普通の入浴料490円のほか、黙浴450円という料金設定があること。コロナ禍の時期に導入されたものと思われますが、40円余計に払えば喋っても良いということなのか、あるいは細かな金銭感覚を持つ関西の方は40円を惜しんでみんな黙浴しようとするのか、いずれにしても面白い試みですね。私は根っからの関東人ですが、ついつい40円の安さにつられて黙浴の入浴料を購入しちゃいました。
内部は典型的な昭和の銭湯といった佇まいで、下足箱は木板の松竹錠で施錠する昔ながらのスタイル。男女別の入口を過ぎてすぐのところに番台があったり、脱衣所のロッカーも松竹錠だったり、牛乳が飲めたり・・・まさに昭和の銭湯そのものです。なおドライヤーは無料で使えたのですが、脱衣室内に設置されているサウナは別料金とのこと。
(浴室内は混雑していたため画像はございません。文章のみでご説明致します)
浴室内もこれまた昭和の銭湯さながら。入ってすぐ目の前にはかけ湯があり、男女両浴室を仕切る塀に沿って洗い場が設けられ、宝式水栓(いわゆる押しバネ式水栓)と壁直付けシャワーが8セット並んでいます。また右手前に水風呂が、右奥にはジェットバスがそれぞれ配置されています。
男湯の場合は中央から右隅にかけての位置に主浴槽となるL字形の浴槽が上下二段に分かれて据えられており、湯口から直接注がれる上段の浴槽は熱く、その下流にあたる下段は適温となっていました。そして湯口は温泉成分の付着によるためか焦げ茶色に染まっていました。
浴槽のお湯は無色透明で、湯口の熱いお湯を手に汲んでみますと、ほんのりとした金気の味と香り、そして有機肥料のような風味が感じられました。マニアの方しかわからない表現になってしまいますが、青森県の津軽平野や三八上北地方に多く見られる温泉に近い風味と言ったら良いのかもしれません。上段の浴槽に入ると全身に気泡が付着するほか、上下段ともに湯中ではサラサラスベスベの軽やかな浴感があり、熱いながらの粗熱の抜けは良いため、湯上がりには意外にも全身がスッキリとした爽快感に包まれました。
なおネット上ではこちらのお湯についてイオウ臭がするとの記載が散見されたのですが、私はまったく感じられませんでした。花粉症で嗅覚が鈍っていたのが原因かしら。分析表を見ても硫黄らしさはほとんどないので、その硫黄臭がどこから来ているのか、残念ながら私にはよくわかりませんでした。
館内には「当浴場のお湯は全て温泉です」と掲示されており、浴槽の身ならずシャワーも源泉使用なんだとか。また「溢れたお湯の再利用などは一切ございません」と書かれているように、各浴槽とも完全かけ流しでしっかりオーバーフローしており、湯使いの素晴らしさにも感心しました。市街地にもかかわらず44℃の温泉が毎分575Lも汲み上げられるのですから、加温加水循環消毒が無い状態で掛け流せる贅沢な湯使いが可能なんですね。素晴らしい!
このようにお湯が大変良いためか、訪問時は昼にもかかわらず洗い場が埋まるほど混雑しており、地元ご老人の憩いの場となっているようでした。私も再訪してこのお湯の良さを再度堪能したいと思っていたのですが、まさかその数か月後に閉業してしまうとは想像だにしませんでした。憩いの場を失ってしまった地元ご老人も相当悲しんでいらっしゃることでしょう。お湯を汲み上げるポンプの故障が原因とのこと。その修理もしくは交換には多大な費用を要するため、閉業をご決断なさったものと思われます。残念ですが仕方ありません。
単純温泉 44.5℃ pH7.61 575L/min(動力揚湯) 溶存物質609mg/kg 成分総計609mg/kg
Na+:160mg(91.15mval%),
Cl-:160.0mg(55.40mval%), HCO3-:220mg(44.26mval%),
H2SiO3:54.2mg,
(令和2年4月27日)
大阪府堺市堺区神明町西3-1-29
2023年6月か7月頃に閉業してしまいました
私の好み:★★+0.5
前回記事に続いて閉業してしまった温泉施設の記事となってしまい申し訳ございません。
前回記事の「弥生の里温泉」は訪問前から閉業することはわかっていましたが、今回ご紹介する堺市の銭湯「トキワ温泉」はこの度ブログで記事にするまで閉業の事実を知らず、記事を書くにあたって事実関係を確認すべくネットを調べたら2023年6月下旬に閉業していたことを知ってビックリした次第です。近年は温泉施設が相次いで閉鎖していますので、行きたい温泉があれば「また今度でいいや」ではなく、可及的速やかに訪問日程を立てるべきでしょう。後悔先に立たず。この言葉ほど温泉巡りにピッタリな教訓はありません。
さて、2023年2月に堺市を訪問した私は、阪堺電車に乗って神明町電停で下車。
電停から数ブロック歩いてゆくと・・・
目的地である「トキワ温泉」に到着です。この時は銭湯のオープン時間(13時)に合わせて訪ねたのですが、まだシャッターが閉まっており、玄関の前ではたくさんの爺さん婆さんが列を作って開店を待っていました。
やがて上半身裸のおじさんがせわしない感じで現れてシャッターを開けてくれました。開店準備に時間がかかっていたのでしょう。施設の方々が日々汗を流して準備してくださることで我々は気持ち良いお風呂に入れるわけですから、そのご苦労には心から感謝しなければなりません。
入浴券は下足場に設置された券売機で購入します。面白いのが、普通の入浴料490円のほか、黙浴450円という料金設定があること。コロナ禍の時期に導入されたものと思われますが、40円余計に払えば喋っても良いということなのか、あるいは細かな金銭感覚を持つ関西の方は40円を惜しんでみんな黙浴しようとするのか、いずれにしても面白い試みですね。私は根っからの関東人ですが、ついつい40円の安さにつられて黙浴の入浴料を購入しちゃいました。
内部は典型的な昭和の銭湯といった佇まいで、下足箱は木板の松竹錠で施錠する昔ながらのスタイル。男女別の入口を過ぎてすぐのところに番台があったり、脱衣所のロッカーも松竹錠だったり、牛乳が飲めたり・・・まさに昭和の銭湯そのものです。なおドライヤーは無料で使えたのですが、脱衣室内に設置されているサウナは別料金とのこと。
(浴室内は混雑していたため画像はございません。文章のみでご説明致します)
浴室内もこれまた昭和の銭湯さながら。入ってすぐ目の前にはかけ湯があり、男女両浴室を仕切る塀に沿って洗い場が設けられ、宝式水栓(いわゆる押しバネ式水栓)と壁直付けシャワーが8セット並んでいます。また右手前に水風呂が、右奥にはジェットバスがそれぞれ配置されています。
男湯の場合は中央から右隅にかけての位置に主浴槽となるL字形の浴槽が上下二段に分かれて据えられており、湯口から直接注がれる上段の浴槽は熱く、その下流にあたる下段は適温となっていました。そして湯口は温泉成分の付着によるためか焦げ茶色に染まっていました。
浴槽のお湯は無色透明で、湯口の熱いお湯を手に汲んでみますと、ほんのりとした金気の味と香り、そして有機肥料のような風味が感じられました。マニアの方しかわからない表現になってしまいますが、青森県の津軽平野や三八上北地方に多く見られる温泉に近い風味と言ったら良いのかもしれません。上段の浴槽に入ると全身に気泡が付着するほか、上下段ともに湯中ではサラサラスベスベの軽やかな浴感があり、熱いながらの粗熱の抜けは良いため、湯上がりには意外にも全身がスッキリとした爽快感に包まれました。
なおネット上ではこちらのお湯についてイオウ臭がするとの記載が散見されたのですが、私はまったく感じられませんでした。花粉症で嗅覚が鈍っていたのが原因かしら。分析表を見ても硫黄らしさはほとんどないので、その硫黄臭がどこから来ているのか、残念ながら私にはよくわかりませんでした。
館内には「当浴場のお湯は全て温泉です」と掲示されており、浴槽の身ならずシャワーも源泉使用なんだとか。また「溢れたお湯の再利用などは一切ございません」と書かれているように、各浴槽とも完全かけ流しでしっかりオーバーフローしており、湯使いの素晴らしさにも感心しました。市街地にもかかわらず44℃の温泉が毎分575Lも汲み上げられるのですから、加温加水循環消毒が無い状態で掛け流せる贅沢な湯使いが可能なんですね。素晴らしい!
このようにお湯が大変良いためか、訪問時は昼にもかかわらず洗い場が埋まるほど混雑しており、地元ご老人の憩いの場となっているようでした。私も再訪してこのお湯の良さを再度堪能したいと思っていたのですが、まさかその数か月後に閉業してしまうとは想像だにしませんでした。憩いの場を失ってしまった地元ご老人も相当悲しんでいらっしゃることでしょう。お湯を汲み上げるポンプの故障が原因とのこと。その修理もしくは交換には多大な費用を要するため、閉業をご決断なさったものと思われます。残念ですが仕方ありません。
単純温泉 44.5℃ pH7.61 575L/min(動力揚湯) 溶存物質609mg/kg 成分総計609mg/kg
Na+:160mg(91.15mval%),
Cl-:160.0mg(55.40mval%), HCO3-:220mg(44.26mval%),
H2SiO3:54.2mg,
(令和2年4月27日)
大阪府堺市堺区神明町西3-1-29
2023年6月か7月頃に閉業してしまいました
私の好み:★★+0.5