東鳴子エリアはマニア好みの良泉が揃っています。そんな中で以前はお湯を循環させていたものの、数年前から湯使いが改善されて放流式になった宿があると聞き、日帰り入浴利用で立ち寄ってみることにしました。
家庭的ながらも飾り付けが賑やかな館内。玄関には日帰り入浴客専用の下足箱が用意されていました。帳場で湯銭を支払い、お風呂へと向かいます。私が訪問した時には、既にお風呂から上がったお客さんが、帳場前のソファーでゆっくり寛いでいらっしゃいました。
こちらのお宿には新旧各1つずつのお風呂があるようですが、今回は新館の浴場である「姫の湯」を利用しました。大きな暖簾を潜って脱衣室へ。脱衣室は広くて明るく、綺麗で使い勝手良好です。
窓が大きく天井が高い内湯には、窓側に浴槽がひとつ据えられ、その反対側に洗い場が設置されています。洗い場に取り付けられたカランの数は計5基です。浴槽はおおよそ10人サイズ。一見すると奥が広い逆L字型に見えますが、その部分は寝湯になっており、浴槽内はスノコのような構造になっているのですが、体の形状に合わせるような形で曲線を描いており、仰向きで利用した際に体とフィットするように作られています。
浴槽に張られているお湯は茶褐色なのですが、浴槽内に付着した色やお湯自体の色などにより、まるでコーヒーのような黒っぽい褐色に見えます。
湯口からは直接触れないほど熱いお湯が注がれていました。お湯に関するインプレッションは後程。
一方、戸を開けて屋外に出ると露天風呂。露天とはいえ、頭上のみならず四方がしっかり囲まれているため、景色を期待できないどころか屋外らしい開放感もあまり得られないのですが、風は入ってきますから、お湯で火照った体をクールダウンしながら爽やかな状態で湯あみを楽しむことができるかと思います。
浴槽は岩風呂でおおよそ4~5人サイズ。こちらのお湯も濃い茶褐色を呈しています。露天の浴槽内は妙にヌルヌルしていたのですが、これってお湯の色を濃く見せている温泉成分の影響なのか、あるいは別の理由があるのか、そのあたりはよくわかりません。
内湯同様、露天風呂の湯口からも触ったら火傷しそうなほど熱いお湯が注がれていました。
お湯は黒っぽい茶褐色を帯び、小さくて茶色い湯の花がたくさん浮遊しています。湯面からは東鳴子温泉らしいアブラ臭が放たれており、口に含むと清涼感を伴うほろ苦みと弱い炭酸味が感じられます。個性派揃いである東鳴子の他旅館で湧出している源泉と比べると、相対的にマイルドに感じてしまうのですが、実際にお湯に浸かると優しくトロッとしたお湯が全身を包んでくれ、ツルツルスベスベの大変滑らかな浴感を楽しむことができますから、なかなかの良泉であることに間違いはありません。あくまで個人的な見解ですが、ご近所の高友旅館のお湯を大人しくしたような感じかもしれません。
今回は日帰り入浴のみ、しかも新館のお風呂だけでしたが、今度は宿泊しながら他のお風呂にも入ってみたいものです。
混合泉(新井第2号泉・動力揚湯源泉・新井第5号泉・唐竹沢源泉)
ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉 66.4℃ pH7.4 溶存物質1303.5mg/kg 蒸発残留物1052mg/kg
Na+:269.7mg(84.03mval%), NH4+:1.9mg, Ca++:24.7mg(8.81mval%), Fe++:0.2mg,
Cl-:104.8mg(20.23mval%), HS-:0.7mg, SO4--:113.4mg(16.13mval%), HCO3-:565.6mg(63.36mval%),
H2SiO3:180.8mg, CO2:77.0mg, H2S:0.3mg,
(平成25年10月8日)
加水・循環・消毒なし、冬場の気温低下時のみ加温あり
陸羽東線・鳴子御殿湯駅より徒歩3分
宮城県大崎市鳴子温泉字鷲ノ巣90-18
0229-83-3437
ホームページ
日帰り入浴時間10:00~20:00
500円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★+0.5