松本の梓川の土手には、こういう環境でのみ生育でき
るという植物が生えている。
「ツメレンゲ」という多肉植物。
昔だったらサボテン栽培の対象にでもなったろうに、
という外見の植物だ。
自生している場所は、環境の変化とともに、どんどん
局地的になってきていて、その数少ない自生地が梓川
周辺ということで、それでは観察に行こうということ
になったのだ。
というと、いかにも植物に興味があるように見えるが、
実は興味があるのはその「ツメレンゲ」ではなく、そ
れを食草としている「クロツバメシジミ」というシジ
ミチョウの方で、なにしろこの「クロツバメシジミ」
というのは「ツメレンゲ」がなければ生きていけない
わけなので、「ツメレンゲ」と歩調を合わせるように
数が少なくなってきているということなのだ。
初めて「梓川」の土手を歩くが、結構川幅があり河原
も広い、で改めてこういう環境の植物を見ると、普段
見ている山の植物とは明らかに違うと感じる。
先ほどの「ツメレンゲ」もそうなのだが、どこか官能
的な佇まいなのだ。
南洋的な植物のような雰囲気、と言えば良いか。
同じ地域で、山と川でこれだけの差があるのか、とや
や驚きを持って見た。
石がごろごろしているような大きな川というのが、独
特な環境を作る要素なのか。
つまり日差しの強さ、紫外線の強さが周りとは明らか
に違うわけだから。
そういえば「ウチワサボテン」まで生えていた。
「カダケス」か。
「カダケス」というのは、地中海に面したスペインの
小さな町で(フランスに近い)、ダリの生地でもある
が、その海岸に「ウチワサボテン」がびっしり生えて
いた光景を思いだしたのだ。
梓川ではまさか自生はしないと思うが、誰かが植えた
のが増えたのだろうか。
まあ、どちらにしろ居ながらにして異国情緒を味わえ
るところがあると言うのは、なかなか面白い。
自然の状態であるというのが、いい。
一番の目的の「クロツバメシジミ」は、結局固体は発
見できなかったが(兎に角風が強くて)、食草の「ツメ
レンゲ」は確認できたのでまた機会を改めてというこ
とにしていつもの「オ.クリヨー.ド.ヴァン」に昼飯を
食べに行く。
ランチの魚は「シイラ」だった。
以前一回ほど食べたことがある。
今の時期が一応旬らしい、が、身そのものは淡白とい
うかぱさぱさで、脂のない鰤と言った感じの肉質で、
決して旨いと言う魚ではない。
しかし、付け合せのラタトゥイユ風野菜と食べれば
それなりに美味しい。
テラスで風に吹かれながら、この前買ったカフカの「変
身」を読みコーヒーをすする。
その目の前を幼稚園児の集団が通り過ぎていく。