ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

麦の穂を揺らす風

2007年06月26日 | 映画


韓国映画特集(しつこいが)のついでに借りたのが、
これと、もう一つは「エコール」という映画。
「エコール」に関しては、特別な感想も無いのでこの
「麦の穂を揺らす風」について。
監督はケン.ローチ。
名監督として一部の間では知られている。
取り上げる題材が、貧しい労働者などで、どうしても
印象としては「社会派リアリズム」的なものとなり、
それ以上のものを感じることが出来なく、あまり面白
いと思ったことは無い。
要するに、好きな監督ではないのだ。

で、今回の「麦の穂を揺らす風」は、アイルランドが
舞台。
イギリスに支配されているアイルランド、そのアイル
ランド人の独立運動が話の中心。
「シンフェイン党」などという、IRAで馴染みの名
前も出てきて、アイルランドの歴史というものが自然
と分かるようになっている。
時代は、1920年頃。
IRAとの和平が合意されたのは、最近のことだから、
当時からずっと同じようなことが繰り返されていたこ
とになる。
こんな事実はなかなか知ることは出来ない。
映画によって歴史的な事実を知るというのは、映画の
効能であるのだが、それがそのまま映画の可能性であ
るかというのは、人それぞれの受け取り方だからまた
別問題。
それに、そこに描かれているのが事実かどうかは、こ
れもまた判らないことなのだから、なんでもかんでも
鵜呑みにすることは問題だ。
常に、相対化する視点を持たないといけない、なんて
ね。

しかし、この映画はアイルランドを扱っているのだが、
それをそのままイラクに当てはめても、何の違和感も
無いことに気付く。
イギリス軍がいなくなっての国内の内戦に発展する過
程など、今のイラクそのままだ。
愛国者同士の方法論の違いというのは、結局最後に武
力衝突という形に変わる。
どちらも愛国的行為で、どちらにもそれなりの言い分
がある。
国が分裂するメカニズムは常に同じように働くという
わけだ。
その一番の原因は、愛の強さだろう。
強さゆえの思いこみというのは、悲劇を生み続ける。
なんてことも、この映画を見ると強く感じるし、それ
が押し付けがましくない。
しつこいと思う描写もないし、良質な映画特有なもの
を感じる。
つまり、ケン.ローチの映画の中では一番良かったの
だ。

今回の映画特集は、結果的に一つもしょぼいのに当た
らなかった。
調子に乗って、半額セールの最終日に間に合わせよう
と一週間レンタルを4日で切り上げ返しに行った。
ところがよく確認してみると、最終日は昨日であった。
オーマイガー。
せこいこと考えてると、こういうことになるのだ。


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