ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

グエムル

2007年06月24日 | 映画


韓国映画シリーズ、最後は「グエムル-漢江の怪物」と
いう怪獣映画。
これも公開時結構話題になった。
高評価の印象があったが、正直怪獣物で?という疑問
を持ったのは事実だ。
とりあえず、そんな先入観を持って見ることとなった。

漢江という川に化学薬品が大量に廃棄される。
つまり、この薬品によって魚と蛙の合体したような怪
物が突然変異的に生まれるのだ。
始まりは「ゴジラ」だ。
核廃棄物によって生み出される公害の象徴「ゴジラ」。
あちらは社会派的要素が強かったが、「グエムル」は
怪物誕生のカニズムとして引用しているだけだった。
その証拠に、その後一切そのことには触れない。
基本的には、怪獣にさらわれた娘を助ける駄目親父の
物語である。
家族再生の物語と言っても良い。
テレビで宣伝している時は、怪獣の姿がテレビゲーム
の怪獣のように見えたが(つまりちょっとちゃち)、
実際はなかなか良く出来ていて、「エイリアン」とロバ
ート.ロドリゲスの「パラサイト」に出てくる怪獣を
たしたような、気持ち悪さが充分表現された良い造形
だ。
CGによる動きも悪くないし、多分日本のその手の映
画よりレベルが高いし、ハリウッド製にも負けてない。
海外で評判だったのも素直に頷ける。
今日も同じことを言うが、娯楽作品として出来が良い
のだ。

あと、韓国社会に対する皮肉も効いて、結構笑える場
面が多く、「愛国的な視点」とステレオタイプで捉え
がちな韓国人の国に対する見方を覆される。
相対化している監督の視点を感じる。
単純なヒーローでなく、ダメ親父というのも良い。
見るからに冴えない主人公に、知らず知らずに同調し
ていく自分に気付く、かも。
最後に娘を助けてハッピーエンド、となるのが常道な
のだが、そうしなかったのも偉い、と思ったが、ハリ
ウッド映画だったらこれは許せないことだろうなあ。

と、今回の韓国映画特集(自分だけの)も無事に終わっ
たわけだが、改めて、韓国映画のレベルは上がってる
と実感した。
その点日本映画は、と普通だったらつなげるところだ
が、それほど最近の日本映画を見ているわけではない
ので(というより殆ど見てない)何とも言えない。
それに、一括りで、「韓国映画」「日本映画」と言わ
ない方が良いのかもしれない。
どっちもしょうも無い映画の方が多いし、結局は監督
個人のセンスの問題であるわけだから。


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