昨日の続きになるが、「ノーカントリー」の殺し屋、
あの不気味さは必見であるのは言うまでもないが、つ
いこの間、BS2で深夜、ドン.シーゲルの「突破口」
という映画をやっていて、ついつい観たのだが、その
中の殺し屋が、「ノーカントリー」の殺し屋の系譜で
はないかと思ったのだ。
原型に近いのでは。
この映画は公開当時に、どこかの試写会で観た記憶が
ある。
当時の印象は、アクション映画ではあるが、派手なア
クションがなくちょっと物足りないというものだった。
主役はウォルーター.マッソー。
喜劇の印象の強い役者なので、余計にそう感じた。
で、今回改めてみると、印象は大分違った。
まず、映画として非常に面白いということ。
当時は、アクション映画の面白さは派手なアクション
である、というあまりに素朴な観方をしていたのだと
思い知らされた。
歯切れの良いテンポ、気の利いたストーリー展開、実
によく出来た犯罪アクション映画であった。
確かに、主演は、所謂格好良い役者ではないが、そこ
がまた良い味となって映画に厚みを持たせている。
若い時には、こういう映画の良さが見えないというこ
となのだろう。
これからは、ドン.シーゲルを、アクション映画の巨匠
今回の場合はドンか、そう呼ぶことにする。
と、映画の出来が良いのは間違いないのだが、そこに
登場する主人公を追う殺し屋が、当時は大して話題に
もならなかったが相当不気味というか、非情な殺し屋
なのだ。
そういえば、殺し屋に狙われる理由というのが、たま
たま襲った銀行で、洗浄のために一時的に置いてあっ
たマフィアの大金を偶然手にしてしまったからという、
ちょっと「ノーカントリー」にも通じるストーリーで
ある。
ひょっとしたら、コーエン兄弟、かなりドン.シーゲル
が好きなのではないか、などと思ったりもする。
どこまでも追ってきて、有無を言わせず殺す殺し屋と
いい、共通性が多い「突破口」と「ノーカントリー」、
同じ時期にたまたま目にしたから気付いたことである
が、こういうのも映画のちょっとした楽しみであると
思う。
このところ映画が続いているが、これもまた、たまた
ま面白いと思うものを立て続けに観たからなのだ。
本当、こういうのは偏るものである。