紅蓮(ぐれん)のポケット

子どもの本の作家・三輪裕子のふつうの毎日
2015年夏。三宅島で農業を始め、東京と行ったり、来たりの生活になる

万年筆

2005-09-29 15:47:33 | 20・日々のできごと
今日、お世話になった方の傘寿のお祝いの言葉を書こうと思って、万年筆を机の中から取り出した。

ところが、書こうとして、ショックを受けた。
一番好きな万年筆の黒インクが出ないのである。もうインクがなくなってしまったかと思って、あけてみると、まだ半分以上残っている。

あまり長い間万年筆を使わないでいたので、インクがペン先か、どこかで固まってしまったのだ。

少し前までは(といってももう10年になるか)絶対にインクが固まるほど、長く万年筆を使わないでいることなどなかった。

最初に仕事で原稿を書き出した時、使っていたのはウォーターマンだった。それを使いつぶして、新しいのに買い換えた頃、ワープロで仕事をするようになった。20年ほど前のことだ。
ワープロの時は、それでも、手紙などは万年筆で書いていたので、一日に一回くらいは使っていた。

それが、パソコンになってからの10年。気がつくと、めったに万年筆をもつことがなくなった。
パソコンになってからは、もうなんでもかんでも、パソコンで書く。
書くのが楽というのもあるけれど、保存しておけるのが便利だからだ。
手紙でも、保存しておくと、いつ誰に宛てて、何を書いたか、あとで読み返すことができる。

唯一、毎日書きとめる手帳だけは、以前も今もボールペンで書く。
水溶性の万年筆だと、万が一水でもこぼすと、にじんでしまうし、パソコンでは書けないからだ。

今日のお祝いは、どうしても万年筆で書きたいと思い、ペン先を洗った。その後、しばらく試し書きを続けているうちに、ちゃんと濃い黒インクが出るようになった。
万年筆の出番は、だんだんと減ってしまった。でも、もうちょっと使ってあげよう。

(写真:今使っている3本の万年筆。一番好きなのは細字のモンブラン)